書評
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日本人は水問題でイニシアティブをとれるか ?!
紛争のタネにもなっている水にかかわる国家間の問題や日本における水の問題などについて書いている.著者も日本人は水資源の問題には無関心になりやすいと指摘しているが,アジアの水問題に関しては日本が指導的なやくわりをはたすべきだと主張している.しかし,「湯水のように」水をつかう日本人にそのやくわりがはたせるのだろうか?
水問題に関心のあるあなたに
世界の水の実情を具体的事例を紹介しながら理解できる内容です。
はじめは人口増から起こる水需要の高まり。貧困から生じる十分な水の恩恵を受けられない多くの人々の存在や食料不足から生じる農業用水確保。など世界が抱える水問題の現状が紹介されています。
次に、水問題に起因した実例を紹介しています。
例えば、中国の水需要はこの25年間で20倍以上に増加し、中国北部では地下水くみ上げにより、年1〜1.5mもの地下水低下を生じている。黄河では河川の水が下流まで到達しない断流がしばしば発生し、97年には年間200日以上、断流があった。
バングラデシュやインドでは井戸掘り合戦により年々井戸が深くなり、深い地下水層に潜むヒ素に出会い、深刻な問題になっている。
ヨルダン川が流れ込む死海は、地中海面下400mで、水面はなおも毎年1m近く低下中。
続いて、国際河川という流域が何カ国にも及ぶ大河川の水利用における事例を紹介しています。国際河川にダムを造ることによる問題。ユーフラテス川、ナイル川、コロラド川などの事例でわかりやすいです。
その後は世界の水と日本人について。確かに今でも高騰するガソリンより高価なミネラルウォーターを私たちは文句を言わずに買っています。確かに身近な話題です。
最後の方は、上記の流れを受けた世界的な動きについてを報告しています。世界の目が水問題を意識し、世界水フォーラム開催へ向けた経緯などが紹介されています。また、水に恵まれている我が国の河川法改正の流れやその評価なども紹介されています。最後のあたりでは著者が我が国の河川行政に深く関わってきた思いが強く述べられています。
水問題に興味がある方は必読の1冊だと思います。
今起きている様々な水問題を知るための本
いわゆる水問題について、人口増加から水不足の問題がますます深刻になっていくくらいの知識しかなかったが、この本を読んで問題はより複雑で解決が難しいことを知った。
たとえば途上国の水不足について、よくNGOが支援しているように地下水があるところは井戸を掘れば良いと思っていたが、それは大きな間違いだった。地下水を過剰に汲み上げると、地下水位が低下していき枯渇する。水位が低下すると深い層に潜んでいた毒物に地下水が汚染されてしまう。バングラデシュやインド、中国などでは既にこの問題が顕在化しているという。
ダム建設の問題は、環境を悪化させるという面しか聞いたことがなかったが、先進国と途上国では事情が違うため同一に論じることができないそうだ。洪水被害の軽減や旱魃の回避など、ダムのメリットを考察することなしにデメリットばかり強調してはならない。
また、国際河川の管理などは、水資源を争って国家間が対立することが多く、解決の難しい問題である。今後、不足していく水を巡って、紛争はますます増えていくだろう。
そして、水資源の豊富な日本が水を大量に輸入しているという現状にも驚いた。というのは、食糧や木材を輸入することでそれを生産するために使われた水を間接的に輸入することになっているのだ。
自分の無知さもあって、全体的に学べる部分が多かった。これらの問題は、工業の発展に伴って工業用水の使用量が増えるなど、貧困国が経済的に発展することでは解決しない。個人の水意識の改善というと、やや陳腐な結論のように思えるが、それが極めて重要なことだと改めて確認できた。
水の危機
日本人には水は無尽蔵にこの世に存在するという、
既成概念に警鐘を鳴らしている書物である。
地下水の枯渇、水質の汚染、BRICsなどの台頭による、
水の奪い合いが起こる未曾有の危機が現実になってきていることを知ることが出来る書である。
政治話に偏りすぎか
著者の略歴から、科学技術論的に水問題を論じた本と思っていたのですが、違っていました。
政治的・行政的な話がメインになっています。
技術論についてもっと知りたかっただけに、ちょっと消化不良でした。