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未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

出版社 岩波書店
著者 菅谷 明子
発売日 2003-09-20

この本に関する書評

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Amazonレビュー

図書館や博物館は、事業仕分けの餌食になりやすい施設です。その理由は、施設の重要性を端的に表現することが難しく、廃止してもすぐさまに深刻な影響がでる訳ではないからです。しかし、この本を読めば、そのことが実に安直な考えであることが分かります。単に本を並べているだけでなく、データベースを使って情報と情報を紡ぎあわせて、より有益な情報を作り出し、人々に新しい視点を提供する。ニューヨークの博物館が行っていることは、(優れた)大学教授が学生や市民の質問を受けて、情報の精査と独自の観点を加えて、指導する様に似ています。図書館は、科学をはじめ様々な知識を実践へと昇華させる施設であることを、具体的な例と魅力的な文章で紹介しています。図書館学に関わる人だけでなく、博物館や公民館などの、いわゆるハコモノに関わる人にぜひ読んで頂きたい書籍です。
 2003年の発刊当時にこの本を読んだことがあり、今回再び読んだ。
 数年を経て読んでも、内容は驚きの連続であり、ニューヨーク公共図書館のレベルの高さを再認識する。

 全5章のうち、第1章から第3章は、ニューヨーク公共図書館が、ビジネス、芸術、医療、子どもなど様々な分野の情報を積極的に提供し、住民の知的水準やスキルを向上させ、生活向上に大きく貢献している活動が紹介されている。
 次に、第4章では、ニューヨーク公共図書館がどのような経過で成立してきたか、資金集めや広報はどのように行われているかが記述されている。
 そして、第5章はインターネット時代の図書館のあり方について述べている。

 著者は、「むすび」において、アメリカの公共図書館をテーマに執筆や講演を行うと「本当に図書館が、こんなことまでするのですか?」という反応が返ってくると記述している。
 ニューヨーク公共図書館が行っているような広範な分野の活動を図書館が担うべきか、それとも他の機関が担うべきかは議論が分かれるところと思われるが、「本の貸し出し」のウエイトが大きい日本の図書館がどうあるべきかを考える際に、たいへん参考になる貴重な本と思います。
 
アメリカで、図書館を利用したことがあります。
大学の図書館、公共図書館の両方訪問しました。

制度がよくわかっていなかったので、本書を読んでいればよかったと思いました。
ニューヨークへ出かける方は、ぜひ、でかける前に読まれるとよいと思います。
この本を何度も買いました。町の議員さんや図書館でボランティアをしている人など、いろいろな人に読んでもらいました。
図書館が何のためにあるのかについて、ニューヨークのルポはわかりやすく伝えやすい事例です。ホームレスの人が図書館のPCを利用してビジネスをしているのを見た著者が、図書館員に善悪を尋ねる場面があります。この図書館員の回答が、未来の町をつくるために行政ができることをあらわしていると思います。
図書館大好き人間ですが、あるとき、「今後の図書館の理想像はどのようなものか」ふと思った。きっかけは、世の中が知識・情報化社会が中心となっていく一方、疲弊する地方経済が抜け出すには、市民一人ひとりの知的財産の積上げしかないのではないか、その役割の中心は図書館が担うべきなのではという考えだった。その後も自分なりに考えてみたが、たいしたアイデアが浮かばない中で、本書に出会い、目から鱗が落ちる感覚を覚えた。

感銘を受けたのは、「無名の市民の潜在能力に賭け、それに対して惜しみない援助を与える前向きな姿勢と懐の深さは、アメリカの繁栄を支える大きな柱である。その中で図書館は、単に本を無料で貸し出す場ではなく、市民一人ひとりが持つ潜在能力を引き出し、社会を活性化させる極めて重要なインフラである。」
つまり、根底には個人が力をつけることが、やがては社会全体を潤すことにつながると、明確に認識されており、そのためのインフラ造りには投資を惜しまないという想いである。(P20〜22)

公立図書館の充実は、「A組織の後ろ盾を持たない市民の調査能力を高める、B新規事業の誕生を促し、経済活動を活性化させる、C文化・芸術関連の新たな才能を育てる、D多様な観点から物事を考え、新たな価値を生み出す、Eコンピュータを使いこなす能力をはじめ、市民の情報活用能力を強化する、といった効果をもたらす」という点も共感できる。

社会の急速な変化に対応するためには、個人がパワーをつけることが今後ますます重要になる。そのためにも、眠れる人材を支援し、それを社会に還元するためのシステム、「知のインフラ」としての図書館を今こそ見直すべきだと主張する。
アメリカの公立図書館での取り組みはここでは書ききれないほど示唆に富んでおり、一読する価値あります。
皆さんの地元の図書館どうですか?