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夏から夏へ

夏から夏へ

出版社 集英社
著者 佐藤 多佳子
発売日 2008-07

この本に関する書評

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Amazonレビュー

日本は大阪では5位だった。
そして北京でメダルを取った。
その間の物語。

各メンバーの生い立ちや、想いをインタビューをもとに描き出している。

私は世界陸上をテレビで夢中になって見た。
北京オリンピックも夢中になって観た。
その後の朝原引退のドキュメンタリーもひたすら夢中になって観た。
朝原の「肉体マネジメント」も読んでみた。

だから知っていることも多かったけど、知らないこともたくさんあった。
特に、各メンバーの生い立ちはかなり詳細で面白かった。

陸上はタイムだけじゃない。
速くはなっていないが、巧くなっている。
このあたりの感覚は、すべてのスポーツに通じるものがあるのではないか。

P130の「引退に、美しいなんて、ないんだよ」という言葉は印象に残りました。

作者の、選手の、その関係者の、想いが伝わってくるいい本だと思います。
北京オリンピック前に発売された本なので、オリンピック後の今になって読むと、本当に「オリンピック前に読んでいれば!」と悔しい気持ちでいっぱいです!
すっかりオリンピックも終わってしまった今では、あの走っているシーンをテレビでもあまり観られなくなってしまったので、もう一度、観戦して応援したい気持ちでいっぱいになります。
北京の前はまったく陸上に興味がなかったのですが・・・。

大阪世界陸上の第一章と、その後の北京オリンピックへの歩き始めの第二章。
世界陸上の章がとても華やかでドキュメンタリー風にまとまっているのに対して、「その後」の章はインタビューや取材の様子を書いた感じで、割と地味です(^^;
第二章の取材結果を織り込んで第一章だけを膨らませた方が、たぶん読み物としては面白かっただろうと思いますが、
きっと取材したときの練習風景やインタビューが印象深くて、佐藤さんがその空気を残したかったんだろうなぁ。
ノンフィクションは初めてだそうなので、慣れたノンフィクション作家の方のものよりは、まとまっていない感じは否めませんでした。
でもその素人っぽい(失礼v)部分に、
佐藤さんの純粋な5人(リレー4人+リザーブ小島さん)への敬意と、
それぞれのスプリンターの思いが伝わってきて、
彼らの走る姿を観たくてたまらなくなりました。
この本は400mリレー日本代表が日本記録を立て続けに更新し、アジア記録をも塗り変えた2007年世界陸上大阪大会にスポットをあてた作品。メンバーそれぞれの競技への取り組み方や、異なる練習方法、生い立ちなど幾度となく重ねられたインタビューが集約されたドキュメンタリー作品。1年後ついに北京オリンピックにて日本史上初のメダル獲得を成し遂げたる彼らの軌跡を辿れる貴重な一冊に仕上がっている。
先日、日本陸連のアスレチック・アワードが開催され、今年活躍した選手たちが表彰されました。アスリート・オブ・ザ・イヤー(素直に「最優秀選手」でいいと思うが・・・)に選出されたのが男子4×100mリレーのメンバーです。塚原・末續・高平・朝原の四人。
これに、リザーブの小島を加えた日本のヨンケーチームを、大阪の世界陸上から北京オリンピック前まで取材したノンフィクションです。筆者はあの「一瞬の風になれ」の佐藤多佳子。北京オリンピック開幕前に出版。
素材は最高、なんたってアスリート・オブ・ザ・イヤーですから。ライターも高校生スプリンターを題材に小説を書いた作家ですから期待が持てました。実際、いろんなエピソードがてんこ盛りで楽しめました。いわゆる「陸上ライター」は、こんなこと書かんだろという家庭の事情とか・・。(^^;;
世界陸上の予選で、アジア新記録を更新したメンバーは、ドーピング検査でホテルに戻るのが遅くなり、近くのファストフードで遅い夕食を食べる。
(以下、引用)
深夜のなか卯は、他の客がいなかった。(中略)
「贅沢しよっか。ねぇ。贅沢」
「ささやかな贅沢だね」
「アジア記録出して、牛丼だもんな」(中略)
若い塚原と高平はやはり興奮していて、レースの話に花を咲かせた。(中略)朝原と末續は聞き手にまわって楽しんでいた。
(引用終了)
なんとも楽しげで、なか卯の店員がうらやましいぞ(笑)。
塚原からバトンを受け取る末續が、塚原を語る。「例えて言えば、原付バイクが全速力でブーンと走ってくる」
その末續からバトンを受け取る高平がリレーを始めた頃を「野球を出来ない人が、キャッチャーをやらされて、150キロのボールを受け取るようだ(中略)末續が迫ってくるのがとにかく恐い」と語っていたり。文章も平易にこなれているのであっという間に読めました。
残念なのは、当然ながら北京のシーンがないこと。尻切れトンボの印象が否めません。(続編が出るのかな)(^^;;
それから作者のミーハーモードが頻繁に出てきて、ちょっとなあと思うこと。そのせいか、全体の印象は単にインタビューをまとめただけで、踏み込み不足というか、取材対象と鋭く切り結んだところがありません。まぁ、普段はバラバラに活動している5人をチームとして取材しているので、ある意味仕方がないのかもしれませんが。陸上ファンなら読んでみて損はないでしょう。ということで星三つ
僕は今年の春まで合計7年ほど陸上をやっていた。
もちろん個人差はあると思うが、この本は経験者からみてもいいと僕は思う。

でも、この本を読んでほしいのは未経験の方。
紹介文にも書かれているように、この本の著者、佐藤多佳子さんは「一瞬の風になれ」の作者でもある。
一瞬の風になれにも共通することは、
陸上というマニアックなスポーツを未経験者という立場から、非常に分かりやすい表現や描写を用いて伝えている
ということだと僕は思う。

陸上が好きだからあえてこのような表現をするが、陸上は「一般的に1番観戦に向かない、見ていてつまらないスポーツ」だと思っている。
だが、一瞬の風になれ、夏から夏へ、この2作品は純粋に楽しめる作品である。

今年は北京オリンピックにて4×100mRでの銅メダルという快挙があった。
この本を読むと、あの銅メダルがリレーメンバーやその周りの方々にとってどれほどうれしい事なのか感じることが出来ると思う。