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からくりからくさ (新潮文庫)

からくりからくさ (新潮文庫)

出版社 新潮社
著者 梨木 香歩
発売日 2001-12

この本に関する書評

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Amazonレビュー

 日本家屋で「りかさん」と名付けられた人形を囲んで、手仕事で繋がっている4人の女性の、坦々と丁寧に紡がれていく下宿生活。自然と共にあって、時おり素敵なマジックが起こり、ガーリィで楽しいです。
 この小説を読んでる時って、小さな幸せがいっぱいです。
例えば…美容院で主婦雑誌を読んでるひとときみたいな。素敵に暮らすヒントを収集してる、楽しい優雅な時間のような頁。
例えば…ランチやお友達のおうちカフェで、お茶をよばれながら、素敵で知的なお話交わしてる、ほっこりした楽しい時間のような頁。
例えば…丑三つ時に一人、いるはずもないのに誰かの視線を感じたり、何かの気配を感じて凍りつく怖ーい瞬間のようなスリルのある頁。
 藍染めの藍瓶、機織の筬って何だろ?登場人物にいると怖さに読むのを控えたくなる市松人形(怖いのは一切読まない怖がりな私でも大丈夫です。)、人形作りの澄月って実在?…これらの言葉や知識、今までの私の生活圏内にはありませんでしたが、たまたま、その筋の方に訊いたり、日本古来の事や由来、小説に出てくるぜんまい紬のお話のような地域の特色と背景は、他の地域にもまだまだ沢山あって、聞いたりアチコチ調べるだけでもっと楽しくなります。
 専門家だけでなく、雛人形やリカちゃん人形(うちにはどちらも無かったけど。私もこの小説のように、欲しかったのとは違うリカちゃんが来た。)の話題って、どこでしても盛り上がるのねー、不思議に。
 魂や絆、因果、その他自然界の見えない力という世界は偶然じゃなくて、きっとあるだろうなと信じてる私には、たまらない魅力的な小説です。
 ここのところ、頭の中はずっと梨木香歩さんの小説の不思議なストーリーでいっぱい、読み終わるのが惜しいほど、楽しませて頂いてます。
 
からくりからくさ 梨木香歩 新潮文庫  平成14年

初出 同名 平成11年

梨木さんの自然を見る眼を感じる作品ですね。
草木染めというのでしょうか、自然の素材を使ってモノに変えていく過程が読者に心地よいと思うのです。人形、染物、織物、植物、それを取り巻く人々、他者との関係性でのみ生きることが出来る人間達の生活が質素に堅実にそして楽しく、時に悲しく時間に絡み取られていくようです。
読んでいて、心が休まるというか癒されるというか、不思議に気持ち良くなる作品だと思います。まさかな結末が新たなスタートという何か循環する時間を感じます。
何か面白い本ないかな、と本屋さんをぶらぶらしながら、タイトルに何となく引かれて手に取りました。裏表紙のあらすじをさっと読んで、4人の女性はおばさんかなと思っていたらみんな二十歳くらいの大学生でした。(容子は大学に行ってませんが)

はまりました。素晴らしい物語です。ラストも良かったし、4人の繋がりも良かったです。

りかさん、ミケルの庭、も読みました。

赤光、蔦、さよたちの過去の話も書いてほしいと思います。

うちこむものがあったり、夢があったり、食事をしたり、眠ったり、好きな人ができたり、失恋したり、子供を生んだり、病気になったり・・・
たとえば最近のケータイ小説や昔からある昼メロは人生の出来事を必要以上に過剰に描く。その過剰さは観客をひきこみ正常な判断をさせなくする。でも、梨木さんの小説はそうじゃない。ひとつひとつの出来事は大きくても小さくてもすべてが大事に大事に描かれていて、その連なりが人生を作っていくことを教えてくれる。読者をひきこむ独自の世界観を確立しながらも読者が自分で感じ考えるスペースを残してくれる優しさと強さがある。”りかさん”にまつわる少し現実離れした設定も素直に受け入れてしまうのは、その自分が一歩踏み込んで考える余裕を与えてくれるからなんだろうと思う。
おっとりとした蓉子、さっぱりした与希子、繊細な紀久、真面目で努力家のマーガレットという4人の女性が、「りかさん」という蓉子が大切にしている市松人形を中心にして、一緒に暮らしていく物語だ。

「りかさん」は、蓉子が話ができるという、人間のように接している不思議な人形で、他の3人も「りかさん」には一目置いている。

4人の同居人のそれぞれの個性が、柔らかく溶け合って、実に心地よい空間を創り出している。
個性のにじみ出た会話がおもしろく、まるでドラマを観ているようだ。
読んでいくうちに、つい引き込まれていく感じである。

この物語では、染織、織物、能面についての4人の挑戦と探究心も深く追求しており、興味深いところだ。
このテーマにおいては、さらに2人の男性と蓉子たちの両親も加勢してくる。

全体を通して、4人の女性たちの懸命に生きる姿が共感を呼ぶ。
さわやかで、温かくて、少し切ない、魅力的な物語だと思う。