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セル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)

セル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)

出版社 新潮社
著者 スティーヴン キング
発売日 2007-11

この本に関する書評

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Amazonレビュー

なぜ携帯でこうなったのかが知りたい…なぜアリスをあんな風にしてしまったのかも…ああああ…明確なオチが欲しい…ああ…アリスにまた会いたい…
上巻のゾンビチックな勢いからすると下巻はパワーに欠けるが、ラストに向かう盛り上げ方はやはりキング調。ドキドキしつつ次々とページをめくり、いつの間にか、知らぬ間に物語が終わってしまったことに気づいた。キングとなれば回りくどいマニアックな描写と口調でラストも説明過多なとこも多いが、今回はちょっと尻切れトンボで、若干落胆。携帯人のメカニズムと生き残った人たちの安否、そして息子の回復、知りたかったよぉ。映画化になるそうだから期待する。
スティーブンキングの本職が今あなたの手にっ!
今や誰もが持つモバイルが原因の
人間のぞんび化がはじまる主人公は無事に子供と再会できるのか?
出だしから誰も置いて行くことの無い猛スピードな展開
彼らしい書き口ですね
停まることなく読んじゃいますので
時間のあるときに表紙をめくってください

スタンドバイミー
で少年達の淡い青春を描き

ショーシャンクの空に
で狡猾でモダンな脱出劇を

日本人の持つ彼のイメージを変えてくれる作品ですがこれが彼の本業
読んでみてください
個人的なass-u-meですが、緊急発信番号911番(日本の119番か110番?)にかけたとたんにアホになってしまう場面で、キングは911番と9月11日をダブらせているかな?と思いました。
つまり、「9.11テロはアメリカの自作自演である」として被害者の遺族400家族がブッシュらを訴えているというのに、テロ以来いっさいの思考を停止して見ざる聞かざるで済まそうとする現実の人たちの方が携帯人より余程怖い、とキングは感じているのではないかと。
そう仮定すると、最初のパニック場面で助けを求めて911番にかけ、携帯狂人になり破壊活動に走った人も多いだろうと連想できるし、それは9.11テロに怒り狂ってイラク攻撃を支持した人々を思わせます。
最後の結末が尻切れトンボなのは、「読んだ後に少しでも自分で考えてほしい」というキングのメッセージと受け止めました。
すなわち、しょーもないプログラムの言いなりになって思考停止や破壊活動に至る携帯人のようにジョニー(または全ての子供たち)をしたいのか?
それとも愛らしく人間らしい、元のジョニーのように育てたいのか?
それはオレたち大人の行動にかかっているんだぜ、とキングは言いたいのではと思いました。
また、ハーバードのスウェットを着た携帯人が初めて登場する場面では吹き出してしまいました。
アメリカで最も優秀な大学の一つと言われるハーバード大学への、キングの痛烈な皮肉と感じたからです。
アメリカの政・官・財の要人にハーバード卒が少なくないだろうことは想像がつくし、その成果としてのアメリカの現状を見れば、ハーバードのお里も知れています。
2005年1月、ハーバードの学長が公の場で大変幼稚な女性蔑視発言をしたのをニュースで読んでいたので、携帯人の親玉がハーバード卒なのも至極納得が行きました。
上巻で状況設定を一気にやってしまったので、下巻では人物や心理状態の描写に割く余裕が出て話に深みが生まれ、
ストーリーも予想しないような方向に展開するので、最後まで一気に読めてしまった。

“誰が”“何のために”の説明が結局ないことは、上巻の巻頭で謝辞を捧げた2人の作風から考えれば、異論は無い。
また、結末が明るいのか暗いのかが明確でないのも気にはならない。
大好きな初期傑作中篇「霧」と読後感が似てなくもないし・・・。

ただ、最後の最後の展開には納得がいかないんだなぁ。
突然「ペットセマタリー」のような方向に持っていかれて、テーマが一転してパーソナルなものになってしまったように感じたことと、
さらに“句読点”なのか“ピリオド”なのか釈然としない結末に、プッツリ切られてしまった印象を拭えないこと、が主な理由。
(旅路のルート説明の中でミクマク族の話題が出てきて、懐かしいとは思ったが・・・)

・・・でも、最初から主人公クレイは妻と息子の安否を気遣っていて、それがすべての行動のエネルギー源だったから、
その点では落とすところに落とした、と言えなくも無い。

ということで、長年の“あばたもえくぼファン”としては、
久しぶりにとんでもない非日常空間につかの間連れていってくれたキングへの感謝の気持ちに寄り切られ、
甘い採点になってしまいました。上巻とあわせて、★9個(10個満点)。
・・・甘いなぁ・・・。