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猫と針

猫と針

出版社 新潮社
著者 恩田 陸
発売日 2008-02

この本に関する書評

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Amazonレビュー

 私は恩田陸さんの本を数冊読んだことがある程度の読者ですが、彼女の作風というか、小説の会話からうける印象をとおして、きっと、作者はそのうちに戯曲を書くことになるのではないか、という漠然とした想像をしていました。

 もしもアガサ・クリスティーやロベール・トマのようなウェルメイドな推理劇を本書に期待するとしたら、謎は完全には解明されないまま幕引きとなってしまうので、なんだか取り残されたようなもどかしい気持ちになるかもしれないですね。別にそれほど難解なわけでもないですが。

 あえてプロットには触れませんが、たとえば、第二場と第三場の終わりの登場人物たちのモノローグの羅列は、演劇というよりも小説の地の文による説明に近いという気がしました。鴻上尚史さんの「小説を書く人の芝居だなあ」という感想は、言い得て妙。私も同感です。

 併録の「『猫と針』日記」によれば、お芝居のタイトルと冒頭のシチュエーションしか決まっていない状態で舞台の企画がどんどん走りだしたため、大変な苦労をして公演間際にどうにか台本を書きあげた由。作者は本意でなかったようですが、プロだけあって一定の水準に達している。私にはそう感じられました。

 蛇足。私、キャラメルボックスの公演は未見です。
恩田陸もキャラメルボックスも好きなので恩田陸が脚本を書くと知ったときは本当にうれしかった。
舞台に関していえば思わせぶりな会話が進み途中までは楽しめました。
が、オチが。そこで終わりかよ。今の時間は何?と思ったものです。
舞台化でどんな苦労があったと書かれても、金と時間を返してほしいと思った私にはだから?としか思えませんでした。
おそらく戯曲を読んだのは初めてだと思う。限られた空間の中にいる
5人の会話から、読み手はさまざまなことを推し量らなければならない。
どんなしぐさで、どんな口調で、どんな表情で?それは読み手によって
かなり違うものになるような気がする。小説を読むのとはまったく違う。
読むのにかなり神経を使った。読み手がこれだけ苦労するのだから、
書くほうはもっと大変だったと思う。その大変な苦労が、「『猫と針』
日記」に切々と書かれている。読んでいると胃が痛くなりそうだ。
でも、自分が頭の中で作りあげた世界とどれくらい違うものなのか、
実際の公演を見たかった。見られないのが残念!
彼女の作品、たまに理解できないものがあるんだけど、これもそれ。一応謎らしきものはあって、部分的には解決されるんだけど、「なるほど」とか「そうだったのかぁ」みたいな解決感は一切なし。登場人物にも特に感情移入できる対象もなく、魅力ある人があらわれるわけでもなく。雰囲気も暗いだけで、うーん、何が面白いのって感じ・・・。
 演劇集団キャラメルボックスのために書かれ、2007年に上演された全四場の戯曲に、書き下ろしの「『猫と針』日記」を加えて単行本にした一冊。

 友人の葬式に参列した五人の同窓生、30代後半。彼らが、その場にいない人物のことをあれこれと話すうちに、過去にあったかもしれない犯罪が浮かび上がってくる・・・・と、そうした心理サスペンス風味の密室劇。
 贔屓作家の最新刊てことでかなり期待して読んでいったのですが、今回は残念ながら期待ハズレでした。面白くなりかけたところで終わってしまった、そんな感じ。

 五人の男女の会話から、過去に起こっていたであろう真相(表面的なことの裏側で、実際に起きていたこと)が分かりにくく、もやもやっとして曖昧だったこと。

スズキ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タカハシ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヤマダ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 と、上記の戯曲のスタイル(カタカナの名字の後に、台詞が入る)で書かれているため、登場人物それぞれの輪郭、姿形や印象が、前半しばらくの間、かなり掴みづらかったこと。

 この二点に引っかかったことをはじめ、いまいち、話に乗り切れず、作品のどこが面白いのかよく分からないまま終わってしまいました。
 芝居を楽しんだ方は別として、見ていない人にとっては、かなり掴みづらい話なんじゃないかなあ。