読了してまず思ったのは、『スカイ・クロラ』や『ナ・バ・テア』をもし戦中派(こういう言葉も死語になりつつあるな(●^o^●))の飛行機乗りたちが読んだらどう感じるだろう、ということだった。森博嗣の放つ文章は実に詩的で、実に立体的だ。激しく揺れるその展開の速さにまるで自分が草薙水素の隣にいるような気がしてくる。『死』と隣り合いながら生きた『遅れなかった青年たち』の見た風景とそれは似ているのだろうか。
森作品は、まずキャラクターありきだ。何体かの魅力的な要素を持ったキャラクターを適度に配置、そして当然予想される化学変化を映像化し、それを文章化するという感じがする。その辺がふつうの作家とだいぶ違う。言ってみればそれは、2次元で小説を書くのと3次元で小説を書くのとの違いだ。森博嗣のキャラクターは皆、立ち上がり動き回る。その中でも草薙水素は『純』に光っていてステキだ。(●^o^●)
ディティールを明かさないままに、
世界観を表現しないままに、
テンポよく、難解な表現を持たず、
言葉足りずだけれども、疑問は残さない。
そうして淡々と戦闘機乗りの空と地上でのドラマが綴られています。
それが無駄を一切消去した彼のスタンスなのか、
彼の素直な描き方であったのか。
ただ私にわかることは著者の独創性、作品の自由度。
そして私に残ったのは爽快感。
それは計算されたものであったかもしれないし、そうでなかったのかもしれません。
ただただ私は、人との交流を厭い、空に思いを馳せ、
そして死というものを空で眠る、という非常に詩的な解釈を持って語られる主人公、
その余りにもまっすぐで、淀みのないキャラクターに惹かれていました。
主人公の素直さに、最初は困惑してしまいましたが、
読み進めるとともに幼いころに置いてきた大切なものを思い出したと同時に、
自身が素直に生きることを忘れていたことにも気づきました。
それは決してノスタルジックなものではなくて、新鮮で心地よいものです。
ちょっとだけ、ほんの少しだけでも自分を変えたい方にオススメです!
荘丁の美しさがとっても魅力なので、
店頭で見つけたときにはぜひ手にとって見てみてください。