情報
-
-
能力構築競争-日本の自動車産業はなぜ強いのか 中公新書
出版社 中央公論新社 著者 藤本 隆宏 発売日 2003-06-24
この本に関する書評
この本について書かれているページがありましたら、ご自由に登録して下さい。
Amazonレビュー
自動車産業の研究本はいくつか出ているが、
どれも特定企業の研究や取材結果や、
生産性や生産効率といった面だけのものや
ややもすると精神論に偏る本もあるなか、
「ものつくり全般」を長年研究している著者により
「開発とは何か」や「開発効率」や「開発品質」についても
具体的に書かれている点で着目できる。
「能力構築競争」とは、比較すべき基準も無く
競争相手のレベルも把握しにくい中における
開発効率・生産効率・利益効率・品質など
「ものつくり全般の組織能力向上」を言うという。
またコストメリットの恩恵がわかりにくい開発効率の面では
(いまでは言い尽くされた内容であることも否めないが)
フロントローディングやモジュール化、ソフト統合化など
特に「能力構築」に悩む自動車開発に携わる管理職には
基本から「開発とは何なのか」を考えるには必読といえるのではないか。
また、巷のコンサルタントやマスコミに踊らされた感のある
「規模拡大のメリット」は、2003年時点で
「200万台もあれば充分」とバッサリ「意味無し」と切り捨てている。
これは、以後のホンダやポルシェといった単独メーカーでも存在感を発揮し、
ダイムラーとクライスラーの破局、GMとクライスラーの倒産など
単なる大規模メーカーの迷走からも明らかである。
まさに「ものつくり能力構築」で決まるのである。
惜しむらくは「能力構築競争」という漠とした本書の題名である。
確かに本書内容を代表するのではあるが、
これでは自動車関係者の読者の目を引けないのではないか。
自動車の規制や基準も年々厳しくなる中、
グローバル化と地域別対応に迫られながら
能力構築競争は、政府も巻き込んだ国別の競争も激化しており、
リーマン以後のGM倒産など、近年の自動車産業の迷走を見るにつけ
最新の情報も踏まえて本書がアップデートされないかと期待したい。
どれも特定企業の研究や取材結果や、
生産性や生産効率といった面だけのものや
ややもすると精神論に偏る本もあるなか、
「ものつくり全般」を長年研究している著者により
「開発とは何か」や「開発効率」や「開発品質」についても
具体的に書かれている点で着目できる。
「能力構築競争」とは、比較すべき基準も無く
競争相手のレベルも把握しにくい中における
開発効率・生産効率・利益効率・品質など
「ものつくり全般の組織能力向上」を言うという。
またコストメリットの恩恵がわかりにくい開発効率の面では
(いまでは言い尽くされた内容であることも否めないが)
フロントローディングやモジュール化、ソフト統合化など
特に「能力構築」に悩む自動車開発に携わる管理職には
基本から「開発とは何なのか」を考えるには必読といえるのではないか。
また、巷のコンサルタントやマスコミに踊らされた感のある
「規模拡大のメリット」は、2003年時点で
「200万台もあれば充分」とバッサリ「意味無し」と切り捨てている。
これは、以後のホンダやポルシェといった単独メーカーでも存在感を発揮し、
ダイムラーとクライスラーの破局、GMとクライスラーの倒産など
単なる大規模メーカーの迷走からも明らかである。
まさに「ものつくり能力構築」で決まるのである。
惜しむらくは「能力構築競争」という漠とした本書の題名である。
確かに本書内容を代表するのではあるが、
これでは自動車関係者の読者の目を引けないのではないか。
自動車の規制や基準も年々厳しくなる中、
グローバル化と地域別対応に迫られながら
能力構築競争は、政府も巻き込んだ国別の競争も激化しており、
リーマン以後のGM倒産など、近年の自動車産業の迷走を見るにつけ
最新の情報も踏まえて本書がアップデートされないかと期待したい。
自動車産業の研究で有名な藤本先生の論考の総まとめのような本。近年「自動車は摺り合わせ型製品だから日本企業は強い」という言い方を一般のビジネスマンでもするようになったが、これは藤本先生の功績が大きいと思う。だから本書を読んで「新味がない」と思ってもそれは筋違い。これが出所なのだから。
だが、今読むと(3年たっただけだが)、もう十分に切れなくなっていると思わざるをえない。本書のフレームワークでは、マーケティングと製品開発プロセスが一体化したセルシオの意味を論じることもできないし、グローバル調達の今後を論じることもできないし、今後の再編の様々な可能性を考えることもできない。それではあえてフレームワークを用いる意味が薄い。
それが何故かと考えるに、本書が「深層の競争力」として把握する企業活動の範囲が、完成車の設計・製造にとらわれすぎており、しかも設計・製造のプロセスを、「設計情報の転写プロセス」という単一階層プロセスとして記述していることに原因があると思われる。産業全体を「システム」としてとらえないと、議論に無理が生じると思われる。
本書の議論を古典として踏まえつつも、我々は次のステップに進む必要がある。
だが、今読むと(3年たっただけだが)、もう十分に切れなくなっていると思わざるをえない。本書のフレームワークでは、マーケティングと製品開発プロセスが一体化したセルシオの意味を論じることもできないし、グローバル調達の今後を論じることもできないし、今後の再編の様々な可能性を考えることもできない。それではあえてフレームワークを用いる意味が薄い。
それが何故かと考えるに、本書が「深層の競争力」として把握する企業活動の範囲が、完成車の設計・製造にとらわれすぎており、しかも設計・製造のプロセスを、「設計情報の転写プロセス」という単一階層プロセスとして記述していることに原因があると思われる。産業全体を「システム」としてとらえないと、議論に無理が生じると思われる。
本書の議論を古典として踏まえつつも、我々は次のステップに進む必要がある。
自動車産業関連の授業のレポートの素材として利用しました。読めないことはありませんし、面白いとも思います。しかし、日本のもの造りの強さをここまで難しく説明しなくてもいいんではないかと思います。要は、日本の自動車産業は経済的要因に左右されず地道に生産・製品開発で努力してきた。それが日本の企業風土と相性がよかったため欧米企業はキャッチアップに苦労した。しかし、そうした努力が最終的な利益に結びつきにくい点が問題である、ということなのでしょう。著者独自の理論という方向性が強すぎて、言葉遣いになじみにくい点がありました。なお、本が分厚いのは、同じことを繰り返し言っているからです。理解しにくいと思ったのは私がアホだからなのでしょうか?
この本は内容が豊富でありこの価格からするとお買い得と感じた。
こういった自動車産業の強さを概観するには読む価値を感じる。
だが一方で、内容に新鮮味があるわけでなく、著者の視点のみからによる解説/評論に終わってしまっているのが惜しい。
こういった自動車産業の強さを概観するには読む価値を感じる。
だが一方で、内容に新鮮味があるわけでなく、著者の視点のみからによる解説/評論に終わってしまっているのが惜しい。
例えば、競争を表層と深層に分類するのはひとつの着眼点と言えるが、それぞれの強さ弱さについての論は、事実の記述は納得できても、著者の論となると説得力に強さがあると言えない。また、内容の記述は既に世間に流布されているものがほとんどであることも新鮮味を損なっている原因の一つと思われる。
結局、現場経験の無い評論家の論の感が否めず、実際に現場にいるものからすれば「常に不断の努力が必要である」以上の内容を感じ取る事はできなかった。
日本の自動車産業はなぜ世界的に強いのか,という素朴な問いに引きつけられてこの本を読み始めたのだが,著者30年の研究成果の含蓄はずしりと応える.アメリカのコンサルタントがモノにするようなスマートな概念構築と変わり身の早い目先の追求とは全く異なり,まさに日本的な愚直で地道な探求が生んだ「能力構築競争」.これこそ,コンサルタントの受け売りで社内に害毒を流すエセ経営幹部に読ませたい本である.
競争は表層だけではなく深層でも行われている.それがこの能力構築競争である.経営基盤競争と言い換えても良い.目先の表層の競争力ばかりに目が向いていた昨今のコンサルタントや経営者に言って聞かせたい内容である.この競争は長期にわたり戦われる.自動車産業の場合,その期間はすでに30年をゆうに超えた.これからが正念場だ.