書評
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Amazonレビュー
珠玉のアンソロジー
今度映画化されるスティーヴン・キングの「霧」を読むために購入しました。
実際、この本の2/3のページを「霧」が占めています。従って、短篇4作に長篇1作が収められているという感覚でしょうか。
読んでみると、この4篇の短篇が非常に面白く感じました。どの作品も短篇らしくシャープで一つの何かを持っていると感じさせてくれます。
「遅番」(デニス・エチスン)「石の育つ場所」(リサ・タトル)「昼、梟の鳴くところ」(マンリイ・W・ウェルマン)「三六年の最高水位点」
どれも総て素晴らしいのですが、私はファンタスティックな部分もある「石の育つ場所」「三六年の最高水位点」が気に入りました。
その後で読む結果となったためか、「霧」については短編集の中に入ってしまっていることもあって、最初何となく冗長な気もしました。
しかし、閉じ込められた空間の中で、人々の思いなすことのもろもろが、実に良く書けていて、ホラー小説と言うよりは、人間ドラマとして大いに感じ入りました。
このあたりが、スティーヴン・キングの凄さなのでしょう。
ダーク・ホラーの傑作アンソロジー
ダーク・ホラーのアンソロジーとして定評のある「闇の展覧会」の「霧」編。昔は二分冊だったものが、新刊では三文冊になっている。
D.エチスン「遅番」は主人公の行き付けのマーケットで起こる不可思議な出来事を描いたもの。奇妙な味と言えるかもしれない。D.グラッブ「36年の最高水位点」は主人公の初恋の相手である神秘的な女性を描いたもの。魅惑的な千変万化の形態変化。天候や川の水位を予言する能力。構成も女性の描写も巧みで印象に残る。
そして何と言ってもS.キング「霧」。本作の半分以上を占める中篇で作者の特徴を遺憾なく発揮した秀作。主人公が行き付けのスーパー・マーケットに行った際、いきなり「霧」に覆われ始める。段々と慌てだす客達。霧は近くの湖の方から漂っているようで、客の口から湖の反対側にある原子力研究所が言及される。霧で視界が失われて行くが、店には異形の怪物が現れ客を襲う。パニックに陥る客達。しかし、真相も主人公達の安否も定まらぬまま...。スーパー・マーケットと言う日常生活の典型とも言える場所で、いきなり降り掛かる不条理な恐怖。しかも、視覚を失うという事で恐怖は増幅される。上手いとしか言い様がない。長編とは一味違ったS.キングの手腕が楽しめる。
評判にたがわぬダーク・ホラーの傑作アンソロジー。