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中国を追われたウイグル人―亡命者が語る政治弾圧 (文春新書)

中国を追われたウイグル人―亡命者が語る政治弾圧 (文春新書)

出版社 文藝春秋
著者 水谷 尚子
発売日 2007-10

この本に関する書評

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Amazonレビュー

新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)における「暴動」に関する中国政府の情報だけでこの地域の問題を知るわけにはいかないと思い、本書にたどり着きました。

「ウイグル人」に対して激しい政治弾圧の歴史があります。それに対して「世界ウイグル会議」をおこし、国際社会への訴えと理解をうながす運動を行っていますが、当然様々な圧力、拷問、懲罰、そして虐殺が科される実態も本書で浮き彫りになっています。筆者の水谷尚子さんの問題意識と勇気ある行動があればこそ、日本に住む我々がこの「東トルキスタン」で起こっている重要な問題の実情を知ることができたわけです。

第1章では、女性リーダーとして名高い「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席へのインタビューも掲載してあります。何者かによる衝突事故で骨折を余儀なくされた痛々しい姿での登場でしたが、それこそ彼女の存在の重要性につながる「事故」だったと思われます。ここ数年ノーベル平和賞の有力候補と言われていますが、その象徴ともいえる彼女を世界が守らなければいけないでしょう。つい先日、成田に到着したラビア・カーディル主席の報道に対しての中国の反発は強烈でした。

章立てをご覧ください。ラビア・カーディル‐大富豪から投獄、亡命を経て東トルキスタン独立運動の女性リーダーへ ドルクン・エイサ‐「世界ウイグル会議」秘書長 イリ事件を語る‐アブドゥサラム・ハビブッラ、アブリミット・トゥルスン シルクロードに撒布された「死の灰」‐核実験の後遺症を告発した医師アニワル・トフティ グアンタナモ基地に囚われたウイグル人たち 政治犯として獄中にある東大院生‐トフティ・テュニヤズ。
政治的弾圧にあったウイグル人たちへのインタビューを通じて、彼らが直面する政治的状況について書かれた本。こういう問題は感情的な議論に陥ってしまうことが多いけれど、本書は、冷静そして客観的に物語ろうとする筆者の意図を感じることができる良書だと思います。日本人として知っておいてよい内容だと思いました。

これほど残酷なことが行われていることを初めて知って、大きなショックを受けました。もちろん筆者が何度も書いているように、弾圧を受けたウイグル人に取材しているために、バイアスがかかった情報であることは否定できないかと思います。ただ一方で、普段私たちが目にしている日本の報道にも、相当にバイアスがかかっていることに気づかされます。

第一章では、貧しい洗濯婦から中国十大富豪にまでなったラディア・カーディル氏が、その後政治的弾圧を受けて、アメリカに亡命する様子が書かれています。一時は「全国政治協商会議」という政策決定に大きな影響力をもつ会議の委員にもなった人です。しかし、彼女がウイグルの状況を訴え始めると、政府に拘束されます。真っ暗な独房に2年間、日のあたる場所に出られるのは45日間に1度だけ・・・など刺激的な描写が多く出てきます。彼女への処遇は(彼女が有名なために)まだマシな方らしく、普通の人はもっと残虐な拷問を受けるのが普通らしいです。そういう様子は別の章で、別の人によって語られています。

他には、核実験の後遺症を指摘した医師の話や、日本の東大に留学していたウイグル史研究者が拘束された話などがあります。こうした問題に門外漢の私にとっては、目を見張るような内容ばかりでした。

本書はウイグルだけを扱った本ですが、中国でどのように政治的弾圧が行われているのかを想像させられる内容です。中国の少数民族に対する政策と、彼らの政治的環境を知る、ひとつの切り口として読んでおいてよい本だと思います。
中国共産党政府によるチベット人への弾圧は、2008年3月ラサ武力鎮圧により日本でも知られるようになりましたが、東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)についてはまだまだ認識も低く、資料もチベットに比べると少ないのが現状です。

チベット騒乱に呼応してウイグルでも大規模なデモが発生し、ここでも武力弾圧が公然と行われましたが、日本では大きく報道されることはありませんでした。

今回のチベットデモや日本での抗議行動でウイグルの存在を知った人、まだウイグル問題をよく知らない人にはよい入門書です。

文章も平易でボリュームや専門用語なども抑えてあり、いろいろな立場のウイグル人のインタビューを軸にウイグル問題を紹介しているので、非常に伝わりやすく読みやすい本になっています。
新彊ウイグル自治区(東トルキスタン)が地理的にどこなのか
正確にはこれまでわかりませんでした。本書の持つ重みは
亡命した、弾圧された当事者への直接インタビューに基づいて書かれて
いることです。チベットと同様に小数民族に対する中国の
なりふりかまわない抑圧政策(漢民族への同化政策)、
同自治区におけるたび重なる核実験、その結果住民の悲惨な現実。
ただ驚くばかりです。中国で政治犯として逮捕され9年の獄中刑を
言い渡された、東大院生のウイグル人留学生の刑期が2009年に
満了になるとのこと、その後が気がかりです。新書版ですので、ページの
都合上、筆者は色々内容を割愛されたかと思います。もっと内容を
盛りだくさんにされたものの、出版を願います。最近の中国の
微笑外交の一方でこういった現実があることを日本人も知ることが
今後、中国との付き合いを誤らないことだと思います。是非、一読
されることをお勧めしたい一冊です。

北京オリンピックの聖火リレーが荒れたことで、一躍チベット問題は世界中に
知れわたりましたが、ウィグルなど他の少数民族のことはまだ知られていません。
核実験場とされたことを考えると、状況はチベットより過酷なのかもしれません。
本書は、世界各地の亡命ウィグル人から聞き取りを行った、貴重で稀少な記録です。
作者の行動力に敬服したと同時に、彼女の身に危険が及ばないことを願いました。
日本の大学に留学していた学生が、論文のための資料を探すために帰国したところ拘束され、
政治犯として投獄されていることに大変ショックを受けました。
本書を読んで、もう1つ印象的だったのが、欧米、とくにドイツの、政治亡命希望者に対する対応のすばやさです。
この本が多くの人に読まれ、人権や自由について考えるきっかけとなることを願います。