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新平等社会―「希望格差」を超えて (文春文庫)

新平等社会―「希望格差」を超えて (文春文庫)

出版社 文藝春秋
著者 山田 昌弘
発売日 2009-02

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Amazonレビュー

 現代の日本では、「格差社会」という言葉が叫ばれて久しい。では、日本における格差には、どんなものがあるのか?
 そして、格差は本当に拡大しているのか?

 この本は、家族社会学者の山田昌弘さんが、個々の社会格差の背景を、図表を多用しながら一般向けに解説するものであるが、私が凄いと思うのは、始めに「格差について論じる時は、『格差は拡大しているか』よりも、『どこにどのような格差が新たに生じたか』という問いに置き換えることが必要である」と断言していることである。
 実際に山田さんは、仕事格差や、結婚格差や、家族格差や、教育格差などの幅広い分野の格差を論じているが、はっきり言って、ここまで格差社会のことを深く論じている本はなかなか無いと言える。だから、格差社会論について知りたい時は、まずこの本を読んで欲しいと思う。

 最後に余談を入れるが、この本が文庫化された年(2009年)の衆議院選挙で、自民党は結党以来、54年間守り続けて来た衆議院第1党の座から陥落した。これを受けて、民主党を中心とした非自民の政権が誕生したが、どんな政権の枠組みであっても、底抜けの恐怖を払拭することは必須と言える。
 この本は、格差社会について論じると同時に、社会の底抜けを防ぐための考えも含んでいる。だから、私はこの本が社会を変える手掛かりとなって欲しいと思う。
「格差」のある社会を論じた本ですが、現状の悲惨を紹介するのではなく、そうなった社会構造と歴史を、説得力を持って説明しています。格差といえば紹介される「ジニ係数」についても、その数字を鵜呑みにするのではなく、統計学的な注意点を述べた上で数字を分析しています。要するに格差といっても、仕事、年齢、結婚、家族構成、教育など様々な要因があり、それぞれが連関し、それらを分析して対策を立てる必要があることを示しています。
本書は2部構成で、書き下ろしの第1部では日本の社会全体を論じ、第2部では第1部と重複はあるものの各論を述べています。さらに「おわりに」では本書の全体を俯瞰したまとめとなっており、読むべきかと迷っている方は「おわりに」を立ち読みされるとよいでしょう。
格差をなくす方法も示されていますが、具体的ではありませんが、「ヒント」とはなりそうです。