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天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (文春文庫)

出版社 文藝春秋
著者 藤原 正彦
発売日 2008-09-03

この本に関する書評

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Amazonレビュー

 この本に記載されている9人の数学者のうち7人は
サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」と「暗号解読(上)」に
紹介されている数学者たちです。 藤原氏が転用したのはあきらかで、
文章まで似てるところがあります。
 この本でもっとも感動的な数学者であるワイルズ、チューリング、ガロアは
「フェルマーの最終定理」、「暗号解読(上)」に詳しく記載されていますので
そちらの方をお勧めします、とてもおもしろくいっきに読めます。
 ただ二冊あわせて800ページほどありますので
さらっと読みたい方は藤原氏の本をおすすめします。

 外国人作家の本を転用するのはよくあることですが(パックっても著者にばれにくい)
両方とも買ったほうは損した気分になるのでどうかと思います。
 
 世界各地の数学者の列伝。数学というのはきわめて抽象性をもとめる普遍的な学問であるだけに、それを求める方法や姿勢はまた無限大にありうる。
 色々な文化や地域の人が、独自に数学的真理に近づいていく過程が生き生きと描かれる。彼らも生身の人間であるから、葛藤や挫折や苦悩もあったのである。単なる「天才」のレッテルで思考停止に陥るのではなく、その過程を学ぶことは教訓と、今後の我々の指針をえることにつながるだろう。一つひとつは長くもなく、読みやすい。
 また、筆者の実際の体験も付け加えられているから、さらに身近にそれぞれの偉人を感じることが可能な一冊だ。
 本書にはニュートンからワイルズに至る9人の数学者が出てくる。日本の数学研究のレベルが如何に高かったかは、関孝和の章を読めばよくわかる。
 圧巻はあの「フェルマーの大定理」を証明したワイルズの章である。何百年も解けなかったフェルマーの定理を解く鍵が、日本人数学者谷山・志村が提唱した「楕円曲線はモジュラーであるという予想」の証明にあったとは。さらに、その証明にいったんは不完全さが発見されたとき、これに救いの手を差しのべたのはこれも日本人の岩澤理論だったとは。
 唯一の難点はホモだったチューリングの章。ホモ故に悲惨な末路をたどったチューリングへの異常なまでの同情は本著にはふさわしくない。
 こと数学において,天才たちの最大の能力は集中して考え抜く力だという。それだからこそ,彼らは実人生においても,あまりにも真面目で真っ直ぐで,不器用であったりする。彼らとても私のような凡人と同様に,時代の波に弄ばれ,恋愛や夫婦間の問題,人間関係,家庭の問題などで,悩み,疲れ,傷つくのである。

 ことさら天才たちに驚嘆しその偉大さを賛美するのではなく,また逆におもしろおかしいエピソードばかりを取り上げて遊ぶのでもない。ただ天才たちが自分の人生をどのように生きたかを,丁寧な調査に基づき,事実に寄り添って整斉と述べ伝える。
 おのおのの天才たちに充てられた文章の量はそう多くはないが,彼らが実際に生きた息吹がリアルに伝わってくる。客観的な描写の中にも,多くは薄幸であった天才たちへの筆者の温かいまなざしがしみじみと感じられる好著だ。
藤原正彦氏の代表的名著、待望の文庫化である。

藤原氏特有といっていい、格調高く、無駄のない、それでいて平易な文章が、「いつまでも読み続けていたい」という気持ちにさせる。
なぜこれほど優れた文章力を持っておられるのか、本当に感嘆するしかない。

個人的には、フェルマー最終定理を証明したワイルズのエピソードが一番好きで、読み返すたびに涙ぐみそうになる。
将来、理数系を志望している中学生の次女に、(強制的に?)読ませています。