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アブサロム、アブサロム! (世界文学全集 1-9) (世界文学全集 1-9)

出版社 河出書房新社
著者 ウィリアム フォークナー
出版日 2008-07-11
書評
「アブサロム、アブサロム!」はスゴ本
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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Amazonレビュー
ノット・フォー・ビギナーズ
重たい一冊だ。
始まりから438ページまで、まったく重たい。無駄なく重たい。脂肪もついていないかわりに、重たい。力強い。ローリング・ストーンズ「レット・イット・ブリード」も、ここまで重たくはないのではないだろうか。
ヤンキー(北部アメリカ人)に敗れた、南部人たちのありのままが描かれている。暴力、嫉妬、黒人差別、インディアン差別、KKK、殺人・・・アメリカ南部の恥部が、これでもかとばかりに展開される。
誤解しないでいただきたい。ウィリアム・フォークナーは、情念どろどろの心でこれら438ページを書いたのではない。彼はいつだってクールであった。「響きと怒り」「八月の光」「エミリーにバラを」でもそうであったように、クールである。故に重たい。素晴らしい。
だからここで警告しておこう。今までフォークナーを読んだことのない人は、いきなり本書を読むべきではない。新潮文庫「フォークナー短編集」(龍口直太郎翻訳)から入るといいだろう。また誤解しないでいただきたいが、「短編集」がくだらないと言いたいわけじゃないこと。あれだって素晴らしいのだから(南部アメリカ、もしくはラテンアメリカ文芸作品に慣れていない方にはあれだって重たいと感じるだろうが)。
フォークナーがクールである証拠に、または余裕を持って本書を書いていた証拠に、本作にはいわゆる「意識の流れ」が素晴らしく表現されていることを挙げておこう。ジェームズ・ジョイスやヴァージニア・ウルフなど、フォークナーと(ほぼ)同世代の作家たちがやっていたことである。クールであるから、まったくうざったくなく、表現されている。
「私たちと日本人には共通点がある。どちらもヤンキーに負けたことだ」−フォークナーの言葉より。もう一つ、重要な言葉を挙げておこう。
「黒人へのリンチは南部でよくみられるアメリカの恥部みたいなもので、黒人作家リチャード・ライトがこれを大きくとりあげているのは当然としても、白人作家のアースキン・コールドウェルやフォークナーもこれを見逃してはいない。作家の良心ともいうべきものだろう」−龍口直太郎。
なお、「アブサロム」とは、旧約聖書に登場する人物で、父にそむいて殺された男の名前であるそうだ。
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