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ささらさや (幻冬舎文庫)

出版社 幻冬舎
著者 加納 朋子
出版日 2004-04
書評
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やさしい話
突然夫が亡くなり、残された妻“さや”が、
赤ちゃん“ユウ坊”と“佐々良”という町に移り住み、
亡くなった夫に助けられながら様々な人達との出会いや、事件を通じて成長していく話。

悲しかったり、ハラハラしたり、笑えたり。
現実ではありえないと思いながらも、もしかしたら・・・とか、あったらいいなと
思えるような、そんな心温まる作品でした。



先に姉妹編である“てるてるあした”を読んでいたので、
登場人物のキャラクターがわかりやすかった。
優しさのオブラートに包まれた厳しい現実
 優しい語り口で語られるので安心して読んでいると、ふいに厳しい現実が垣間見えてドキッとさせられる、そんな作家だ。それでも読後感がいいのは、ご本人が人間に失望していないからだろう。ご夫君の貫井徳郎氏とは、一見、正反対の世界を書いておられるように見えるが、シュレーディンガーの猫とか、クドリャフカとか、たまに共通項を見出して、いいご夫婦だなあと勝手に納得している。
読者を選ぶ作品
個人的に面白かったと問われればNoと言うよりない。ミステリとしては謎解き要素は可もなく不可もなしといったレベルだが、登場人物がそろいもそろって脳内がお花畑のようなおめでたい人たちばかりで、ストーリーやキャラクターに深みというようなものが全くないのである。
ではこの作品はどうしようもない駄作かというと、そうとも言い切れない。世の中には小説の中くらいおめでたい人ばかりで構成されたおめでたい世界で展開されるおめでたい話を楽しみたいという人がいるのも事実である。サザエさんを見て「家族の物語でありながらタラちゃんの苦悩やワカメの愛憎が全く描かれていない」などと言っても詮無いことである。
言うなればこの作品は砂糖をこれでもかとぶち込んだお菓子のような作品である。苦味やコクといった物を求める人にはお勧めできないが、「甘いもの大好き」という人なら食べてみる価値はあるだろう。
サヤとユウ坊に幸あれ
自分がもし幼い子と妻を残して死ぬようなことになったら残された子と妻はどうなるだろうか。自分も同じように家族が自立するまで見守ってあげたい、助けてあげたいと思います。サヤとユウ坊がこの先ずっとずっと幸せになることを心から祈ります。
周りの人たちもステキ
 交通事故で死んだはずの夫が、どういうわけか成仏してなくて、周りにいる誰かの身体を乗っ取ってはサヤを助けてくれるというストーリー。連作短編です。ちょっと頼りないサヤは、彼らの助けあってか、少しずつ母親として成長してくのですが……。
 サヤや夫より、周りにいる人々が好きです。お夏さんたち3人の老婆たちと、エリカ、息子のダイヤ。この5人が面白くて面白くて。特に老婆たちとエリカのやりとりは噴飯ものです。
 最後の最後にはサヤがいいとこ見せてくれますしね。
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