書評リンク

書評を書籍ごとに紹介していきます。

魔法飛行 (創元推理文庫)

出版社 東京創元社
著者 加納 朋子
出版日 2000-02
書評
書評リンクはまだありません。
この本について書かれているページがありましたら、ご自由に登録して下さい。
Amazonレビュー
続編は難しい
 『ななつのこ』に続く、「駒子さんシリーズ」第2作。
 それなりに面白い本だとは思うのだが、前作ほどには心が動かなかった。つくづく続編とは難しいものだ。

 この『魔法飛行』は、前作『ななつのこ』にあった、二つの強力な「長所」を自ら手放してスタートしている。一つは、作中に出てくる童話とのオーバーラップがなくなったことであり、もう一つは、謎解きをしてくれる手紙の主が、瀬尾さんだと最初からわかっていることである。
 その結果、駒子さんと友人たちとのユーモアただよう学生生活の部分も、魅力的ではあるのだが、妙な具合にリアルに見えてしまい、ちょっと鼻につくというか、ほほえましく見守るという感じではなくなってしまった。読者の心理というのは微妙なものですな。
 その一方で、日常の事件の方は、いささかファンタジー色が強くなり、大人の鑑賞に堪えるかどうか、ちょっと苦しいところだと思う。

 この作品には、もう一つ「謎の手紙」が挿入され、最後にその手紙の謎を解くために駒子さんが走り回る展開になるのだが、そのあたりは、率直に言って余分なことという感じが否めない。結局、事件自体の犯人は不明のままで、謎は全部解けていないわけだし。
 いっそのこと、手紙というアイテムは捨てて、駒子さんが日常の謎を物語に書き、その謎解きは、瀬尾さんが彼女と直接会って話す、というシンプルな構成にした方が正解だったのではないかなあ。二人の関係の進展という意味でも。
ちょっと尻切れトンボ?かも
「ななつのこ」で加納さんファンになりましてすぐにこの本を購入したのでしたが・・・
おやや?一冊目の時よりも1段落が長くてちょっとだらだらした感じ。こんな手紙書く人いるかなあ?なんてちょっとひっかかりました。また、謎の人からの3つの手紙も途中「こわーい」とドキドキしていた分、最後にその人との会話があるわけでもなく、どんな気持ちで手紙を書いていたのかも良く分からないまま終わってしまって。ちっともこわいシーンが無かったし。ん?ってはぐらかされたような気持ちになりました。想像にお任せしますって言う事なんでしょうか。
安楽椅子探偵さんのお家の中の描写は興味深かったです。なぜそんなお家なのか。それとなぜ南十字星を見に行ったのか・・・好きだよって言う勇気が足らなかったから?とかちょっと思ってみたり。
・・・あらまあ文句ばっかり言ってますよ。わたしったら嫌な人ですねえ。でも加納さんの作品は大好きなんですよ。この本もおおむねお勧めです。そうです。最後に褒め言葉も。短大ライフ実況中継、は大変楽しかったです。はい。
魔法にかけられたような

 「ななつのこ」の語り手入江駒子が同じく主人公の連作短編集。
 前作と同じテイストで、駒子は謎を含んだ物語を文通形式で瀬尾という青年に託し、
そこで得た情報から瀬尾は彼女の「?」を解いていきます。
 「ななつのこ」では、結末で鮮やかに登場した謎の人物のインパクトが強く、読後の
余韻も清々しかったですが、本作ではさらなる仕掛けが施されています。
 駒子の稚拙な文(わざと)に最初は少々戸惑いますが、だからこそ返信として章の
結びで語られる瀬尾の謎解きが、霧が晴れたように心地よく全貌を明らかにします。
(終幕までたった一つ謎を残して)

 瀬尾さんは人間として、希有な人だと私は思う。
 私には決して見えない部分、あるいは見ようとしない部分が、
 瀬尾さんには怖いほどに見えてしまったりするのだ。
 私はそれを推理とよび、彼は空想力だと言い返す。
 ー空を想う力、さ。分かるかい?(本文より)

 瀬尾は少女趣味を彷彿とさせる優しく思慮深い理想的な相談相手でほとんど王子様
のようです。駒子や友人たちのキャラクタも基本的に「いい子」なのですが、時折しっかりと
地に足ついた本質を露呈する、その力強さが好きでした。
 この頃の著者の作品は有栖川有栖が嫉妬に近い賞賛をするほど魅力的で、本当に
魔法にかけられたように自分も陶酔できました。
 「月曜日の水玉模様」「ガラスの麒麟」「ななつの子」と並んで好きなお話です。
作者の魅力が発揮されている作品♪
駒子が瀬尾に宛てて書く手紙。そこに綴られた不思議な物語。瀬尾は
駒子の手紙の内容から、その不思議な物語に隠された謎を解いていく。
その謎解き部分も面白いが、物語の間に挿入されている謎の手紙にも
おおいに興味をそそられた。それまでの不思議な出来事と手紙の謎が
ラストで見事につながっていくさまは、読んでいて小気味よい。読後、
ほのぼのとしたものも残り、作者の魅力が存分に発揮された作品だと
感じた。
連作をつなぐ謎
 1993年に出た単行本の文庫化。
 『ななつのこ』の続編。
 本書では、入江駒子が物語の書き手となり、瀬尾が謎を解く。さらに物語全体に隠された謎があり、最後にすべてが明かされる。
 短編集のようでいて、大きな謎が隠れているという構成は、なかなかのもの。個別のあらは目に付くが、筋立てが良く練られていて、カタルシスの喜びがある。
 しかし、なんだか気に入らなかった。たぶん、キャラクターが平板(ティピカル)で実在感がないせいだろう。ストーカー、妹、ツンデレと、現代的のキャラクターが先取りされている。
関連書籍