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アフリカ苦悩する大陸

出版社 東洋経済新報社
著者 ロバート・ゲスト
出版日 2008-05
書評
アフリカは"かわいそう"なのか? 「アフリカ 苦悩する大陸」
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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アフリカの可能性を伝える一冊
 エコノミストの記者による主に(サハラ砂漠以南と言う意味での)南アフリカ
での取材を元にして編まれた一冊。

 著者が前書きで「アフリカが貧しいのは、政府に問題があるからだ」と記した
とおり、本書の中には明日への希望を持って生きる人々と、政府の腐敗・怠慢・
能力不足etc...から来る貧困や健康不安にむしばまれる人で一杯です。

・口約束、長老のさじ加減でどうにでもなる仕組みを改め止め、法を整備しよう
 と動き始めた(マラウイの場合)。これが導入されれば、今ある資産(土地)
 を使って融資も受けられて商売が出来るようになって貧困から抜け出せる。

・AIDSの本拠地とも言えるアフリカにおいても、発症率を劇的に抑えることが
 出来た(セネガルの場合)。

・部族抗争、人種差別の真実。それは植民地政策の名残(ルアンダや南アの場合)。

・役人は賄賂大好き。ビールを運ぶトラック。受けた検問40数回、目的地に
 着いた時、荷台には出発時の三分の一しか荷が無かった(カメルーンの場合)。

 結果が出ている解決策を見てみるとそこには・・・1)必要とするところに必要
なものだけを直接届ける。2)援助に優先順位をつける、3)これで僅かな費用で
効果十分、という事実が浮かび上がります。

 彼の大陸の実情を知れるのはもちろんですが、援助大国として(その費用は
税金から出ているのです)真に求められてる中身は何なのか?且つ効果のある
それはどんなものなのか?ということを知ることも出来る一冊です。

 原著の発行が2004年、本書の出版が2008年、適宜訳者によってデータがアップ
デートされている点も「今」を伝えるノンフィクションものとして好感が持てます。
アフリカの多様性を教えてくれる
翻訳も読みやすく、アフリカの今を教えてくれる良い本だと思います。また、日本では「アフリカ」として一括りにして扱われるアフリカの多様性(例えば、タンザニアは120の部族から構成されていながら殆ど民族対立がないことなど)を、ジャーナリストの筆力でvividに伝えてくれています。この本とコリアーの『最底辺の10億人』を読むと、開発経済学のフロンティアの一部を知ることができるでしょう。
素晴らしいの一言。
◆今まで数十冊のアフリカに関するルポ本を読んできているが、本書がナンバー1といっても過言ではない。

◆原著は2004年に出版され、日本語版は2008年4月に出版された。原著が4年前の本なので、補足の意味で所所に訳注が入っている。

◆著者ロバート・ゲストは経済誌『エコノミスト』の元アフリカ担当編集長。特派員として南アフリカを拠点に7年間にわたりアフリカを取材。アフリカに関する報道で外国人記者協会賞など複数の国際的な賞を受賞。現在は『エコノミスト』の米国特派員。

◆経済発展しつつあるアフリカ諸国であるが、まだ多くの国で政治腐敗が横行し、一部の富裕層(それは政府上層部に直結していることが多い)だけが富み、多くの貧困層は相変わらず貧困のままである。経済誌の記者として、経済的な目線からアフリカ諸国が抱える問題点をルポした本書は、今まで読んできたアフリカ関連書とは違った切り口で新鮮である。

◆著者の見解では、アパルトヘイトを廃止し黒人政権ができた南アフリカが発展した理由は、黒人政権ANC(マンデラの政権)がソ連崩壊をきっかけにマルクス社会主義と決別したからであるという。マルクス主義との決別を見た南アフリカの白人及び先進諸国の投資家は、南アフリカに投資しても財産が没収される危険性が無くなったと判断し、投資を行うようになった。逆にイギリスの植民地であり自由な経済だったジンバブウェは、黒人大統領ムガベによる白人の土地の強制収容など、投資家をびびらせる政策を実行したため、ジンバブウェ経済は崩壊してしまった。(第1章)

◆先進諸国の人権活動家は、アフリカ諸国から安く農作物(コーンフレークやカカオなど)を輸入することは、安い労働力として子供を働かせることにつながる、言い換えれば先進諸国が搾取していることなのだ、と言うが、著者はこれに異を唱える。先進国の活動家や労組がこのように唱え、アフリカから農作物を輸入しなくなったとき、困るのはアフリカの農民だ。アフリカの農民は、カカオやコーンを売るしか現金を得る方法がない。先進国が農作物を買ってくれないと、農民は現金を得ることができなくなり、ただでさえ子供を満足に学校に通わせることができないのに、現金を得ることができなくなったらますます学校に通わせることなど難しくなってしまう。(第6章)

◆またカメルーンでは、ギネス社のビール運搬トラックに同乗し、ドゥアラという港湾都市からベルトゥアという田舎町まで約500キロの道のりを行く。1泊2日の予定で出発したが、結局目的地までは4日かかり、1600ケースの瓶ビールは、賄賂で取られたなどの理由で2/3に減っていた。道路が少しまともで、警官による検問(=賄賂の強要)がなければ、カメルーンでももっと多くの商売ができる。田舎町の人だってビールを飲みたいのだ。(第7章)

◆経済的な側面から見たアフリカという切り口はとても新鮮で興味深く読めた。今年一番の本であるだけでなく、今まで読んだアフリカ関連書籍の中でも有数の本だった。満足。
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