情報

夜回り先生の卒業証書―冬来たりなば春遠からじ

夜回り先生の卒業証書―冬来たりなば春遠からじ

出版社 日本評論社
著者 水谷 修
発売日 2004-12

この本に関する書評

この本について書かれているページがありましたら、ご自由に登録して下さい。

Amazonレビュー

夜回り先生こと、水谷修先生がウエブ上に書き綴った日記と、
講演で話した内容をまとめた講演録の2部構成になっている。

長く勤めてきた定時制高校の教諭を辞めるという、水谷先生に
とっても大きな変化の時の日記なので、その時の心情も書かれて
いる。「子どもは一つ一つ違うきれいな花の種。叱るよりも、いい点を
見つけて褒めてあげよう」、「日本社会の今の闇は大人社会が作って
しまったもの。大人が責任を持って子どもたちに愛情もって接しよう」、
「何も言わなくていい。子どもの傍にただ立ってあげてください」等、
他の著作と同様の意見が、温かく何度も繰り返されている。

特に大人にむけて書かれた日記の内容になっている。
わが町で水谷先生の講演会があった。これまであちこちでやっていたのだが都合が悪かった。ようやく講演会に伺うことができて感動ひとしお。
これまで図書館からNHKのDVD2枚を借りて観ていたが、ナマのお姿が拝見できるなんて。それでいろいそと出かけ、本書(他1冊)も購入。列に並んでサインをしてもらいました。先生はうつむいてせっせとサインしているので、なんとかお愛想でもと
「風邪引いてますので、咳が耳障りになるかもしれません」
先生はふと顔を上げてニッコリ。
「私も咳をしますので大丈夫です」
会場では最前列に座って拝聴しました。
話しは名人級。巧みだなあ。会場の高校生たちが、先生の質問に素直に手を挙げました。
「リストカットした人を知っているもの手を挙げろ」
「薬物を使用しているやつがいるというウワサを聴いたことのある者は?」
ただ、DVDとほとんど被っていました。だからこそ話芸に集中することができたともいえます。
そして本書です。講演の内容とやはりダブリます。けれどNHKの前では語れなかった部分が、蛇足ではなく貴重な部分として吐露してあってDVD講演を補完しています。
ある夜間高校を卒業した知り合いに「先生とパチンコいっしょにやった」などというエピソードを聞いたことがある。昼の先生なら謹慎指導を入れるところでしょう。夜間の先生方の並大抵でない生徒理解への努力が感じられます。そうした「努力」と「気持ち」の海からスパロウ船長のように水谷先生が浮上してきたという感じがします。
「わたしは子どもを叱ったことがない」
この言葉、印象に残ります。
素晴らしいです。と、同時に愛を受けてない子供がたくさんいることにびっくりすると思います。だけれど、人に優しくし、「ありがとう」と言われることで立ち直るというのに納得しました。大人の方皆が読むといいと思える本です。
メディアで話題になっているので、軽い気持ちで読み始めましたが、損得抜きで子供たちのために、身を粉にして活動する彼の姿に、打たれました。

本書を読むと、昨今の未成年の犯罪や、薬物汚染、買春、リストカット、出会い系など子供を取り巻く環境は、「昼の世界」の住人であるわれわれの社会が生み出している物と、痛感しました。
病魔に冒されて教師も辞めても、夜回りや講演は続け、有名になりすぎたがゆえに、彼一人に集中するメールや電話の相談。
夜回り先生を知ることで、彼の思いがいろいろな人に伝わり、何かできればと思います。

最後の「笑顔」のエピソードに感動しました。

時同じくして
ヤンキー先生こと義家先生も教師をやめ
義家先生は横浜市の教育委員会に就職。
その横浜市の教育委員会との
関係が水谷先生のやめるきっかけだったこと・・・・

本中で水谷先生が
教師を辞める理由が書いてあり
そのことにとても興味がありました。

とはいえ
著書すべて読んでいる私は
やはり覚悟を決めて
夜回りをし
何度も危ないふちに立たされ
それでも子どもたちを守っている
水谷先生の
潔さと芯の強さに
親として
同じことができるのか?
他人の子どものことを
ここまで我がことのように
関われるのか

ということを自問自答
しながら読みました。

最後の
「夜の世界に誘われないようにするには・・・・」
という質問に対して

礼儀正しく挨拶をしっかりする。

というのがあります。
その裏づけも書かれています。

ドラッグ
麻薬
売春、買春
リストカット

夜の街から子どもを守る本当の
親の愛。

それは何なのか水谷先生は
親に対し
いろいろなことを投げかけてくれています。

それがキャッチできる親でありたい・・・

そう思わせてもらった1冊です。