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スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員 (扶桑社ミステリー)

スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員 (扶桑社ミステリー)

出版社 扶桑社
著者 スティーヴン キング
発売日 1988-05

この本に関する書評

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Amazonレビュー

キングの真骨頂はやはり長編であって、短編はどうもちょっと・・
と思ってきた人にも、中編の『霧』や短編の『トッド夫人の近道』など十分楽しめる作品。
でもやはりこのシリーズは、例えば平山夢明の「独白するユニバーサル横メルカトル」のような職人芸的悪趣味のコラージュ?のように
読んでキモチワルイ感をクールで爽快だと思える人には、期待通りの読後感を与えるものだと思う。

個人的に印象に残った『生きのびるやつ』。
嵐で遭難して無人島にひとり漂着した青年医師。命をつなぐための食べ物は一切ないけど、
不正取引用に所持していた純粋ヘロインなら大量にあるという状況でどうやって生き延びるのかという。
本人は頭脳明晰で平静を失っていないにもかかわらず、正気な(人間的な)世界から瞬く間に横滑りして転落する。
これは遠近法的に迫ってくる怖さがある。
近くで見るとありふれた日常の風景画なんだけど、
離れた場所からみるとそれが髑髏の顔だったりするような。
ヘロイン中毒者を揶揄した作品なんだろうか。
ある意味アディクション(中毒)という状態を空の上から(無人島上空をなんども通り過ぎていく飛行機から?)
見下ろした時に、見える姿という感じ。
言葉や理屈じゃ中毒は治癒できないというのがよくわかる。
むしろ明晰な思考こそが罠の様に中毒者を中毒状態におとしいれ、
繭の様に中毒者を包み込んで外部世界と中毒者を遮断しているようにも思われてくる。

「患者というのはどの程度の外傷性ショックまで耐えうるのか…
煎じ詰めると、結局のところは次の様な問いになる。すなわち、当の患者がどれほど切実に生き延びたいと思っているか?」




「今日の早川さん」の作者COCOさんのブログで紹介されていたので、読んでみました。とにかく「霧」が秀逸です。見えないことの恐怖、集団ヒステリー、そして驚きの現実。異形のものが何となく「マブラブ・オルタナテイブ」っぽい感じ。先日、映画を見てきました。見えないものの恐怖を、ダラボン監督がとてもうまく表現していました。特に宗教かぶれのおばさんがみんなを先導してゆく場面はとてもリアル。映画のラストは小説と異なり、強烈なインパクトを感じましたが、少々本編のストーリーとつじつまが合わなくなるような気がしました。「キャリー」もそうですが、小説の最後は静かにおわるのですが、映画はラスト勝負のため、原作と違ったものになっちゃうのですかね。わたしはどちらも、小説版の方が好きです。
「ショーシャンク」、「グリーンマイル」と
原作に忠実に映画化し続けていたフランク・ダラボン。
今回はエンディングを大幅に変えることにより、
作品そのものの持つ性格をまるで変えてしまいました。

その評価は置いておいて、映画をご覧になられた方でも、
「霧」を含むこの短編集は十分に購入の価値があるかと思います。

「霧」は、物語の終え方により、
その深い魅力を獲得してると言えるかと思います。
(そのやり方には著者自身、本作品中でイイワケしちゃってますが)
読了後も、ずっと記憶に残るような作品で、
実際、映画化を十数年待ちわびてしまいました。
(映画を観終わった後は、先に原作を読んでいた幸福を感じてしまいましたが)

読み終えられた方にも、ちょっといいお話を。
どこで読んだか、作者の方も失念してしまいましたが、本作の素晴らしい評論を読んだことがあります。(絶版になっているような、キング評論の本でした)
その中で、本作のラスト、主人公が息子にささやいた言葉。
少し難解で、明言されない一文がありますが、
その「似通った2つの言葉」を、
"hope"と"home"と予想していました。

まさに、本作を貫くテーマです。傑作。
「霧」目当てに購入しました。
いやー、これは面白い! 極限状態に置かれた人間がどんどんおかしくなっていく様は流石キングといったところです。妻子持ちの主人公も、ありがちな聖人君子ではなく欲望に流されがちな人間臭いキャラで○です。
しかしそれ以外の短編・掌編はイマイチかも? キングは初期短編が傑作ぞろいと聞いていたので、ヤマなしオチなしのものが多いのにはちょっとがっかりしました。
まぁ、霧目当てに買う人にはオススメですけどね。
 やはり「霧」

 個人的にもう一つ好きなのが「浮き台」です。
こちらは映画版「クリープショー」の一作として有名です。

 若者達が遊びに訪れた湖にひっそりと「何か」が待っていた・・・。
その正体は?
 まとまりの良い短い話をお望みの方におすすめ