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放浪の天才数学者エルデシュ

放浪の天才数学者エルデシュ

出版社 草思社
著者 ポール ホフマン
発売日 2000-03

この本に関する書評

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現代では考えられない天才数学者の生き様が描かれている。

エルデシュは現在ではほとんど使用が認められていない薬物を利用してはいたが、才能を随所で発揮した。
そこで得たお金を小さい子供の教育へ惜しみなくつぎ込み、数学に対する態度とは違った優しさを見せてくれる。
非常に人間味溢れる孤高の数学者である。

あこがれだけでは真似が出来ない探究心と精神力の片鱗に少しでも触れていただきたいと切に願う。

もちろん☆5つです。
文句なしにおもしろい。
本書が。

それ以上に、エルデシュという、人間が。
本書は、定住の地を持たずに世界中を渡り歩き、生涯1500本もの論文を発表した稀代の天才数学者ポール・エルデシュの生涯と、彼を取り巻くはたまた天才の数学者たちについての物語である。


彼の人物像を端的に表す、逸話がある。

朝の5時にエルデシュの友人数学者の自宅のチャイムが突然けたたましく音を立てる。
玄関先に立っているエルデシュは、こう切り出す。
「君の頭は営業中かね?」

また、ある年のクリスマス・イブにも、別の友人宅のチャイムが鳴る。
「メリー・クリスマス!
さて、f(n)を以下のような関数とすると、・・・」


3歳で3桁の掛け算を暗算で行ったというエルデシュは、その長い生涯を終えるまで、1日19時間数学と向き合った。
一般的な知名度こそ他の有名な数学者に劣るが、彼が数学史の上で伝説的な人物であり、歴史上屈指の天才であったことは、疑いようがない。
彼と共同で論文を書いた人を1とするエルデシュ数という数を知っている人も多いだろう。

本書では、膨大な数に上るエルデシュ数1の数学者へのインタビューを通して、世界に翻弄され、世界を翻弄したエルデシュの生き様が克明に描き出されている。

その深い洞察力や、数学に対する誠実さ、加えて随所に垣間見える彼の優しさは、わがままで扱いづらいエルデシュがそれでもこれほどまで愛された理由である。


本書が与えてくれるもの、それは学問に取り組むものの真摯な態度とはどういうものか、ということだけではない。
小説よりも奇なる事実が、そこにある。
フェルマーの最終定理(青木薫氏訳)を読んで、数学について興味をいだき本書を買わせていただきました。先の書が、一般人(数学嫌いだった私のような人間)にもわかるように書かれているのに対して、本書は若干導入部分がとっつきにくいかもしれません。しかし、そこを抜ければ天才数学者エルディシュ氏の世界に旅立ちます。

”学ぶ”とはこういうことなのか、と改めて考えさせられる一冊でした。
天才。奇人。文字通り、一生を数学とともにすごした男の話。
数学以外の全てを周りの人にゆだねる。
こんな人近くにいたら大変だろうな・・・と思いつつも、
数学に対する才能と同時に他人を導く才能と、茶目っ気と暖かさ、優しさ。
愛さずにはいられません。

本を通して、数学の歴史や裏エピソードなど、ふんだんに盛り込まれているので、
数学がわからなくても、楽しく読み進められました。
エルデシュがどんどん好きになるでしょう。

しかし書籍としては、サイモン・シン著書には届かないかな、
ということで★4つ。
 面白い人を書いた面白い本。ただ残念な点はわかりにくいことです。理由は2つだと思います。著者の記述が散漫で、時間を追っていないこと。訳者の日本文が英語からの直訳で、あまり吟味されていない箇所があること。原著はもう仕方がないので、訳は文庫化などのチャンスがあれば、再検討してほしいと思いました。生意気言ってすみません。
 エルデシュについてのもう1冊の本はどうかな、という期待が高まりました。