情報

素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~

素数に憑かれた人たち ~リーマン予想への挑戦~

出版社 日経BP社
著者 John Derbyshire 松浦 俊輔 ジョン・ダービーシャー
発売日 2004-08-26

この本に関する書評

書評は登録されていません。
この本について書かれているページがありましたら、ご自由に登録して下さい。

Amazonレビュー

以前NHKでリーマン予想についての特集を放送していて、それを見て興味を持ちました。
リーマン予想とは、「ゼータ関数の非自明な零点の実数部は全て1/2である」というものです。
そしてどんな世界最高峰の頭脳をもってしても、未だに解決されない問題として残されています。

それにしても、リーマン予想の定義がまず難しい。

ゼータ関数?
非自明なゼロ点??

この本を読むまでは、まったくなんの事やらわかりませんでした。

しかし本を読み終えた今、数学素人の私でも十分に理解することができました。
そして素数定理、黄金の鍵、リーマン予想の見事さと美しさに、ただただ感動するばかり。

この本のすばらしいところは、私のような数学の素人(高校数学を履修している程度)であっても、
世界最高峰の難問へのアプローチを、非常にわかりやすく示してくれてるところです。

数学的に本当に難しいところは筆者の裁量で省略していますが、それでもアプローチの要点
となる部分はキッチリと、まさに基本の数学知識から丁寧に教えてくれます。

この一冊さえ読めば、リーマン予想のなんたるかは全体像として把握できるでしょう。
(ただし、高校履修程度の数学的知識は必要ですし、一読してわからない部分については、何度か読み込む
必要はあります。)

それにしても一見、無秩序に見える素数の中に、とんでもなく美しい規則が隠されている自然の法則には舌を巻くしかありません。
偉大なる自然の前では、人間の無力さすら感じさせられました。

自然科学の中には、まだまだ人間の人知が及ばない法則が、たくさん隠されている事でしょう。
是非、多くの人に読んでもらいたい、非常にオススメできる一冊です。

 本書の原題は"Prime Obsession: Bernhard Riemann and the Greatest Unsolved
Problem in Mathematics"。リーマン予想なる今なお未解決の難題をめぐる数学的歩みと、
それに翻弄される数学者の物語。「奇数章には数学に関する解説を入れ……偶数章には、
背景となる歴史や伝記的な話題が出てくる」。

 脳の回転数が落ちたせいか、数学を離れているせいか、あいにく最後の方の議論は私には
ついていけるものではなかった。
 とはいえ、それはおそらく筆者や訳者の何らかの落ち度に由来するものではないし、事実
得るものはあった。対数関数や複素数、行列がいったい何をやっていて、それらがどのように
つながっているのか、そうしたことを覗き見れるだけでも私にとっては大きかった。

 本書にとって最適な読者とは誰か、と余計なことを考える。私がにらむに、筆者はまさか
露にも思わなかっただろうが、受験数学の勉強に倦み果てた高校生、浪人生にこそ相応しい
のではなかろうか。
 人知にして人知を超えた数学の驚異を垣間見せてくれるし、大学入試レヴェルの法則や
記号法についての説明、確認もなかなかきちんとしている。
 演習問題こそ足りていないが、本書や吉田武『オイラーの贈物』の方が、凡百の参考書や
授業ごときよりもよほど的確、簡潔、なおかつ体系的に数学を習得できるように思われて
ならないのだが、さてどうだろうか。

 とはいえ、受験生に独占させるのはあまりに惜しい。本書はそもそも「知的であり、かつ
好奇心もあるが数学者ではない」一般市民を対象としたもの。必要なのは最低限の数学の
知識と、例えば「ゼータ関数の…」との難解な表現だけでたじろがない勇気。
 Wir mssen wissen. Wir werden wissen.
 ヒルベルトのこのことばは、知を有するすべての人間へと向けられたものである。
「リーマン博士の大予想」を読んだ後で、“もうこの手の本は読まん”、なんて言っておきながら、結局読んでしまった。

この本は「大予想」より、かなり真っ当にリーマン予想を伝えようとした本だ。大学の理系学部でレベルから始めて、リーマン予想の何が面白いのか、かなり頑張っている。最後の方の数学はそれなりに面倒なので詳細は読み飛ばしたが、それでもそれぞれの章の結論さえ押さえれば、確かに面白い問題だと思えて来る。

素数の分布と、リーマンのゼータ関数の零点分布と、ランダム行列の固有値が一つに結ばれるなんて、ちょっと見には全然関係の無さそうなことに関係あって、それらの世界を行き来することで両方の世界の理解が進むのは確かに数学の醍醐味である。フーリエ展開の係数をベクトルとして扱うことが出来ると習ったときの驚きと似ている。もっとも、後者は既に知っている二つのことが結びついて驚いたのに対して、前者はこのために勉強したことの間の結びつきだったで驚きはイマイチだった。

基本的に数論って関係ないし、まだ戦い半ばで勝利の記録でもないし、やっぱり全体としての面白さもイマイチ。ただ、「大予想」でたまったフラストレーションの解消にはなった。
リーマンのゼータ関数の自明でないゼロが、どうして正数x以下の素数の個数を与える関数パイ(x)と関係するのかを分からせてくれる本である。建前として大学初年級の数学の知識で理解できることになっているが、実際問題として理系の数学を学んだ人でないと最後までついていけないだろう。通常こういう通俗数学書では、数学的な予備知識はコラムや付録に回すものだが、本書ではすべて本文に組み込まれているので、数学的な知識のある人はちょっと我慢しなければならない。しかしそれさえ辛抱すれば、内容はなかなか面白い。最近のコンピュータの進歩のおかげで可能になった数値的な結果がふんだんに紹介されていて、教育的である。

リーマン予想は、「関数ゼータ(s)の自明でないゼロは、すべてsの実部が1/2の直線上にあるだろう」というのだが、ゼロが無限個あるために、コンピュータでいくらたくさんのゼロについてそれを確かめても証明にはならない。リトルウッドが素数定理に関連したある予想がとてつもない巨大な数で破れることを示したから、リーマン予想も超巨大数で破れるかもしれないという意見がある。しかしリトルウッドの方は不等式で、リーマンの方は等式である。等式はそんなひねくれた振る舞いをしないものだ。
 フェルマーの最終定理が証明されて以来、数学における最大の魔力あふれる未解決予想として有名なのが、リーマン予想である。
 ところがこれ・・・「ゼータ関数の自明でない零点は、全て実部が1/2の直線上に存在する」という、フェルマーの最終定理などと比べると非常に難解で、高校数学ですらストップしていたような素人にとっては、命題の意味を理解することすら困難なのである。それがなぜ凄いのかにいたってはさらに理解が難しい。
 そこで本書は、高校数学は普通に終えたがゼータ関数をいじるほどには数学をやっていないような一般人向けに、リーマン予想と、その意義を解説してくれるのである。
 ただ、数式があまり出てこないタイプの数学の啓蒙書と比べると難しい。
 本書の適正数学力は、「高校数学のレベル」であるが、つまりは「高校数学を真面目に修学している」という意味であることには注意しておこう。

 そんなわけで、しょっぱなからlogが当然のような顔で出てきたときは、かなり焦ったものである。少なくとも私は対数関数ってナンだっけ?なレベルだったので、読むのに非常に苦労したことを告白せねばならないだろう。

 ただ、確かに本書は素晴らしい。素数定理の解説も、ゼータ関数も、たんなる雰囲気の伝達という以上に、そして真面目に計算するスキル未満のレベルで、しっかりと教えてくれるのだ。
 また、本書の構成も良く出来ている。それは、数学的な記述と純粋な物語的記述が分かれていて、数学部分が判らない章は、物語部分だけ読めば、全く読み飛ばすよりもましな状態で読み進めることができる。
 私は、後半の「ランダムエルミート行列」あたりの手前で、数学部分は挫折したが、素数定理が理解できたことと、リーマン予想が数学的にどういった意味であるかを理解できたために、かなり意義深かったし、実際にかなり面白かった。

 ただ、私は読むのに本当に時間がかかったので、やはり、数学に対してズブの素人に近い人にはお勧めしにくい。逆に、高校で数学をある程度まで真面目に履修した人には、かなりお勧めできる一冊である。