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新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)

新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには? (P-Vine BOOks)

出版社 ブルース・インターアクションズ
著者 井野朋也(ベルク店長)
発売日 2008-07-04

この本に関する書評

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Amazonレビュー

今、店子ベルクは家主ルミネより立ち退きを迫られている。
法的にはベルク側だが、ルミネからの精神的圧迫は圧倒的だ。

TVや雑誌で会長や社長が、
「毎年20%のテナント入替え」、
「20〜30代女性をターゲットにしたファッションビルにしたい」と、
公言している。

もし店子を生存競争させるなら、売上げ等の客観的尺度が必要なのに、
最も回転率が高いベルクを追い出そうとしている。
これは単に、「古い奴は見苦しいから出て行け」と言っているだけである。

初めはこんな圧力を受けるぐらいなら、
中央線沿線のどこかに移ればいいじゃないかと思ったが、
本書を読み進める内に、
ベルクは新宿駅東口改札口横のこの場所で長期熟成されたからこそ、
今のベルクになったと得心した。
もし他の場所へ移ったら、たとえスタッフ・食材全てを同じにしても
それはベルクではなく、ベルク風の別のカフェになってしまう。

私も含めベルクへ行く客全てが感じていることではないだろうか。

ワイナリーで熟成中のワインを別の場所に移してはいけない、
それは熟成の打ち切りを意味する。

私たちに出来ることは、ベルクの実情を他の人に伝えること、
もちろん義務ではないが、新宿へ行った折にはベルクでコーヒー一杯は頂きたい。

東京はどこも客が多いので、チェーン店や枯れたままの個人店が多いが、
ベルクのような長期熟成中の個人店は稀有の存在だ。

昨日より今日、今日より明日、
ゆっくり熟成するワインの分け前を味あわせて貰える、
商品の味だけでなく、店全体を味あわせてくれる個人店ベルク、
さらなる熟成を新宿駅東口改札口横で続けて貰いたい。
・私のようにお店に行ったことがない読者は珍しいかもしれません。
・個人的な好みにも合いますが”素晴らしい”お店ですね。様々なこだわりが有機的に結晶化している雰囲気が手に取るように伝わりました。また社長さんは物書きの才能もお持ちですね。語彙が非常に多彩ですし、説明も平易です。
・”ベルクのこだわり”をもっと多くのサービス業を生業とされている方々に共有して頂きたいと思いました。
 −「飲食店である以上、タブーがないわけではありません。ただ、あまりタブーを恐れて自主規制するのもどうかと思うのです。」 「極端な話、クレームがきたら、その時考える。」「試しにやってみるという実験精神を失いたくはないのです。」
 −「ただ、私は「お断り」とか「ご遠慮」という否定的な表示をするのはなるべく避けたいのです。表示は不特定多数の方へ向けられるからです。」「その少数の方(クレーマー)のためにわざわざマイナスオーラの出る表示をする必要はないと思います。」
  最近は日本全般のサービス業で、顧客第一を”言い訳”にして、”事なかれ主義”を取り、魅力的でないお店がほとんどだと思います。そんなものを多くの顧客は求めていない。少数のクレーマーや酒乱など邪魔者はお客も力を合わせて、大好きなお店を守る為に排除すべき存在だと思います。それらの方にメッセージなど要らない、まさにその通りだと思います。
 −それぞれの食材の頂点を極める職人達のコラボによって生まれた。
  ・コーヒーソムリエの久野富雄さん、ソーセージ職人の河野仲友さん、パン職人の高橋康弘さん などなど、一人一人の職人との出会い、究極までの食材へのこだわりのエピソードは感動的です。
  ・パンを表現する時の語彙の深さにもはっとさせられました。
   「空気感。噛み応え。引きの強さ。舌にのった時の密度。溶け方。舌の細胞へののり方。のどへの流れ方。香り。香りの変化。重さ。全体的な印象。」
 ベルクの店長が書いた本です。店長のこだわりが、お店のコンセプトなんですね。「早くて、安くて、うまい店」それがベルクです。
 でも、誰にとってうまいお店かって難しい問題なんですけど、この本を読んで感じるのは、店長をはじめとするベルクのスタッフの方の舌、感性がきちんとしているから、スタッフの感性と同調した方が集まってくるお店になったのですね。
 女性にもお酒を楽しんでほしい。女性が一人でお酒を飲んでも絵になるお店って本当に少ない物です。
 おいしい、ソーセージと、おいしいワイン、ビール、コーヒー、こんなお店がどこの駅にもあれば幸せな人生が送れそうです。
 自分が楽しんで、お客さんも楽しめるそんなお店がやりたくなる本です。
 あらゆる人にお勧めの1冊です。
この本はタイトルどおり、新宿駅構内にある「ベルク」といういまどき珍しい個人経営の喫茶店兼居酒屋的なお店の経営者の方が、自らの経営哲学について語ったものです。
ですので分類としてはビジネス書なのでしょうが・・・ちょっと違います。

私達が口にする食べ物のほとんどは工業製品です。
と言ってもいいくらい、「製造された」食べ物があふれかえってるのが現状だと思います。
個人的には食べ物を安い値段で流通させるために工業化はやむを得ないと考えてますが、やっぱり野菜は青臭いくらいがちょうど良いし、魚や肉は自然な状態で育ったものの方がおいしい気がする。
まがりなりにも命のあるものを、「工場で作る」というのには違和感があるんですよね。

ちょっと話がそれましたが、この本は、人間が気持ちよく食事を楽しむには何が必要かを真摯に考え、しかもそれをビジネスとして成立させてしまった真っ当な人たちの物語です。
「ベルク」は単なる飲食店かもしれないけれど、そこに集まるお客さん、働く人、「ベルク」という箱、その全てがひとつの芸術のように思えてしまう。そんな感想を持ちました。

わたしはこの本はビジネスにおいて、人が人として真っ当にものを考え、他人に対して誠実であるとはこういうことだ、というひとつのあり方を示す「人生読本」だと思ってます。

(以下、追加)
先日やっとベルクに行ってまいりました。「ジャーマンブランチ」(税込み600円くらい)を頂きましたが、なんじゃこりゃ、なんなんでしょうかこのパテの美味しさは!ていうか全部美味しい!コーヒーもこの値段でって考えたらなんか申し訳ないくらいレベル高い!
戦後から日本は経済復興のみに取り憑かれ文明(物質的文化)はすすんだのだろうが、文化を置き去りにしてきたような気がする。それゆえ経済(資本力)や物質的には満たされた社会になったが人間の生存権という部分が脅かされつつある。その好例が個人経営のベルクだろう。
本書はただの飲食店の経営だけにとどまらず、これからの日本経済のあり方さえも考えさせられる。