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邪悪なものの鎮め方 (木星叢書)
出版社 バジリコ 著者 内田 樹 発売日 2010-01-23
この本に関する書評
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Amazonレビュー
「裁判員制度における、裁判員が不条理に邪悪なものを引き受けてしまう」という指摘が良かった。
もちろん、制度実施前から、議論の俎上には上がっていたが、
氏の指摘は、心理的なものとどまらない、民俗学的なものに思えた。
「霊的なものを否定しない」という立場にありながら、
村上春樹についてのところで言及されているように、
安易なオカルトには与しない……という、
当たり前のようで、難しい舵取りを
敢えて買ってでたという印象だ。
もちろん、オカルト肯定派・否定派双方からの
総スカンを覚悟してのことだろう(というか、気にしてないか)。
因みに、
作者の論説に対する態度が、「ためらい」から「即答」へ変わったなあと思ったが、
本書に収められているのはプログの原稿であり、
学術的な確固とした見解というより、
思索過程を生で見せています……というファンサービスであるのだから、
矛盾はしないのだろう、きっと。
もちろん、「どう受け止めるかは、読者の自由」という留保条件付きで。
もちろん、制度実施前から、議論の俎上には上がっていたが、
氏の指摘は、心理的なものとどまらない、民俗学的なものに思えた。
「霊的なものを否定しない」という立場にありながら、
村上春樹についてのところで言及されているように、
安易なオカルトには与しない……という、
当たり前のようで、難しい舵取りを
敢えて買ってでたという印象だ。
もちろん、オカルト肯定派・否定派双方からの
総スカンを覚悟してのことだろう(というか、気にしてないか)。
因みに、
作者の論説に対する態度が、「ためらい」から「即答」へ変わったなあと思ったが、
本書に収められているのはプログの原稿であり、
学術的な確固とした見解というより、
思索過程を生で見せています……というファンサービスであるのだから、
矛盾はしないのだろう、きっと。
もちろん、「どう受け止めるかは、読者の自由」という留保条件付きで。
なるほど!
と内田先生の視点の鮮やかさに感動・納得しながら 読みました。
ですが ひとつだけ ひっかかる点。
「レッツ ダウンサイジング」
『経済条件の切り下げによって人間はたちまちその矜持を失い、生きる希望まで
失う、とメディアが当然のように語る。失職した人間や労働条件を切り下げられた人がどれほど
みじめで、どれほど絶望的になるかをメディアは毎日のようにこわばった筆致で報道している。』
だが、『私にはよくわからない』と続く。
それは今の、内田さんだから、内田さんの経歴だから『わからない』のだと思う。
名前も聞いたことのない大学の新卒で、内定ゼロで、これからは派遣かアルバイトくらいしか
ないだろうな〜 と いうおもしろくない状況で、
【お日様と友達と空気があれば あと何が必要なのか!】的な、
アドバイスされても。
あ〜この人には 何を言うてもあかんわ〜
それはいいから、もう少し、気の利いたこと 言うてほしいわ〜
という、軽い失望と 焦燥感を感じる。
と内田先生の視点の鮮やかさに感動・納得しながら 読みました。
ですが ひとつだけ ひっかかる点。
「レッツ ダウンサイジング」
『経済条件の切り下げによって人間はたちまちその矜持を失い、生きる希望まで
失う、とメディアが当然のように語る。失職した人間や労働条件を切り下げられた人がどれほど
みじめで、どれほど絶望的になるかをメディアは毎日のようにこわばった筆致で報道している。』
だが、『私にはよくわからない』と続く。
それは今の、内田さんだから、内田さんの経歴だから『わからない』のだと思う。
名前も聞いたことのない大学の新卒で、内定ゼロで、これからは派遣かアルバイトくらいしか
ないだろうな〜 と いうおもしろくない状況で、
【お日様と友達と空気があれば あと何が必要なのか!】的な、
アドバイスされても。
あ〜この人には 何を言うてもあかんわ〜
それはいいから、もう少し、気の利いたこと 言うてほしいわ〜
という、軽い失望と 焦燥感を感じる。
精神科医から統合失調症の前駆症状は「こだわり、プライド、被害者意識」と教えていただいたことがある。との言葉がある。
現在の社会に特徴的なのは、「他が悪い」ということである。クレーマーに困惑した人は少なくないであろう。
「被害者」の立場を先取りして権利請求する。
自由(思い通り)にならないのは、何か妨害する強力なものがある。改革する必要がある。という自分自身にかけた呪いに呪縛されている。
これらは、武術の世界でいう「居着き」であり、「病」である。
他方、アメリカングローバリズム(形容矛盾)の到来により、誰にでもわかる基準の重視つまり数値主義が万能となりつつある。
背後の智慧が隠れてしまった。存在しないものになりつつある。
相俟って、大人(見える人)と子ども(見えない人)の比率が20人に1人くらいまでに目減りしてしまった。ということになる。これでは、社会システムがもたない。
解決策は、この本の題名通り全篇に散りばめられている。
もう一つ、この本には時間論がある。
「私」には、「将来の私」をはじめから勘定に入れている。ということである。超一流のサッカー選手が今はまだ無人のスペースに狙いを澄ましてトスを送るように。
そしてそれは、「私と名乗る他者」でもある。
ウチダ先生の智慧の世界に時を忘れて遊ぶことができる。
現在の社会に特徴的なのは、「他が悪い」ということである。クレーマーに困惑した人は少なくないであろう。
「被害者」の立場を先取りして権利請求する。
自由(思い通り)にならないのは、何か妨害する強力なものがある。改革する必要がある。という自分自身にかけた呪いに呪縛されている。
これらは、武術の世界でいう「居着き」であり、「病」である。
他方、アメリカングローバリズム(形容矛盾)の到来により、誰にでもわかる基準の重視つまり数値主義が万能となりつつある。
背後の智慧が隠れてしまった。存在しないものになりつつある。
相俟って、大人(見える人)と子ども(見えない人)の比率が20人に1人くらいまでに目減りしてしまった。ということになる。これでは、社会システムがもたない。
解決策は、この本の題名通り全篇に散りばめられている。
もう一つ、この本には時間論がある。
「私」には、「将来の私」をはじめから勘定に入れている。ということである。超一流のサッカー選手が今はまだ無人のスペースに狙いを澄ましてトスを送るように。
そしてそれは、「私と名乗る他者」でもある。
ウチダ先生の智慧の世界に時を忘れて遊ぶことができる。
一言でいうと、生き方レクチャー本(そうじゃないかもしれないけど)。
といっても、「サヴァイヴしろ!」みたいなマッチョで誘導尋問的ないやらしさはない。
この本は、「当たり前のことをみんな忘れちゃってるんで、当たり前のことを体の感覚に取り戻したら、きっと生き残れますよ」と教えてくれているのだと思う。
内田樹の書籍には、例えば『街場の教育論』とか『日本辺境論』とかのような、具体的な何かを論じているシリーズと、この本のように、いささか抽象的な何かを論じた本があると思う。
邪悪なもの……邪悪なものっていったいなんだよ!と、人はいぶかしがるかもしれない。
だが僕は、どちらかというとこの本のような、いささか抽象的な何かを論じている本にこそ、生活のための重要な知恵というか、処方箋のようなものが、記されているように感じられてならない。
そして、その処方箋が、この本を読むうちに、じわじわと効いて来るのではないのか、と思うのだ。
『日本辺境論』はかなりヒットしているが、こちらも、相当に役に立つ書籍だと思う。
ぜひ多くの人に読んでいただきたい。
出来れば、二回。
平明な文章なので、よどみなくさっと読めると思うのだが、さっと一読したときと、一呼吸置いてもう一度呼んだときとで、大分と印象が変わってくるはずだ。
そういう本は、優れた本である証拠である。
なぜかって?
単純に見えて単純じゃないから、ですよ。
この本が何に効くのかは、人それぞれの捉え方次第と思うのだが、僕は、『単純な物語に回収されない免疫力をつける』という効き方をすると感じている。
それって大事なことですよ!
といっても、「サヴァイヴしろ!」みたいなマッチョで誘導尋問的ないやらしさはない。
この本は、「当たり前のことをみんな忘れちゃってるんで、当たり前のことを体の感覚に取り戻したら、きっと生き残れますよ」と教えてくれているのだと思う。
内田樹の書籍には、例えば『街場の教育論』とか『日本辺境論』とかのような、具体的な何かを論じているシリーズと、この本のように、いささか抽象的な何かを論じた本があると思う。
邪悪なもの……邪悪なものっていったいなんだよ!と、人はいぶかしがるかもしれない。
だが僕は、どちらかというとこの本のような、いささか抽象的な何かを論じている本にこそ、生活のための重要な知恵というか、処方箋のようなものが、記されているように感じられてならない。
そして、その処方箋が、この本を読むうちに、じわじわと効いて来るのではないのか、と思うのだ。
『日本辺境論』はかなりヒットしているが、こちらも、相当に役に立つ書籍だと思う。
ぜひ多くの人に読んでいただきたい。
出来れば、二回。
平明な文章なので、よどみなくさっと読めると思うのだが、さっと一読したときと、一呼吸置いてもう一度呼んだときとで、大分と印象が変わってくるはずだ。
そういう本は、優れた本である証拠である。
なぜかって?
単純に見えて単純じゃないから、ですよ。
この本が何に効くのかは、人それぞれの捉え方次第と思うのだが、僕は、『単純な物語に回収されない免疫力をつける』という効き方をすると感じている。
それって大事なことですよ!