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図書館・アーカイブズとは何か (別冊環 15)

図書館・アーカイブズとは何か (別冊環 15)

出版社 藤原書店
著者 粕谷 一希 菊池 光興 長尾 真
発売日 2008-11-18

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雑誌「環」の別冊であるが、用意周到な配慮で編集されている。国立国会図書館と国立公文書館の関係者が協力して編集されている。出色は両国立機関の館長と碩学編集者として戦後の言説をリードしてきた粕谷一稀氏との鼎談は、日本の現状を精確に認識しており、圧巻。流石に編集者である、図書館のヘビー・ユーザーであることがわかる。東京にある図書館は、多くの出版関係者が利用しており、所蔵資料の質も高い。また福田政権の置き土産で公文書館の充実が実行されつつあるが、公文書館館長菊池氏の見識は官僚出身とは思えないくらいに学識に裏付けられた発言で、読者を納得させる。公文書の収集は比較的楽であるが、歴史研究を充実させるには、私文書の収集がさらに重要である。これを実行しているのは国会図書館で、その意図を説明した伊藤隆氏の指摘も精確で心強い。さらに日本の図書館などが欧米の水準に達しえていなことを、教育制度を踏まえて、知識情報管理論から精緻に分析した根本彰の論考は、これも出色である。さらにデジタル・アーカイブズを説明したり、政策や法律面を検討したり、文化保存面でも日本異質論を形成しそうな現状が報告される。その一方で、沖縄を初めとして地方の図書館やアーカイブズが先行する事例が紹介されている。価格がやや高いのは気になるが、精確な歴史を残すための機関を再認識するには格好の内容であるが、公共性の議論などは政治学、哲学や社会学で議論されている成果を活かしきれていないのは、残念である。