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若者が『社会的弱者』に転落する (新書y)

若者が『社会的弱者』に転落する (新書y)

出版社 洋泉社
著者 宮本 みち子
発売日 2002-11

この本に関する書評

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Amazonレビュー

若者が困っている、子育ても大変、大学教育が空っぽなど、普段感じていることを
まとめてくれてはいるのだが。表層的な域を脱していないのが残念。
上記の事実は、たいていの人なら気づいているレベルだろう。
まあ本書が世に出た5年間で内容が陳腐化してしまったというのもあるのだろうが。
この本は出版されたのが2002年となっており、フリーターという言葉は見られますがニートはまだ見うけられません。 状況はますます深刻化していると言えるでしょう。 若者に迎合するでもない、かと言って団塊世代として若者に説教をするでもない宮本女史の姿勢は立派だと思います。  一体日本の社会に何が起こっているのか、何がそうさせているのかを冷静にわかりやすく解き明かしています。 “子供のしつけをするためにはある程度子供を経済的依存の状態にしておくべきである” また団塊世代について“だが彼らは同時に不安も感じていたのではないか。 生活の全てを他者(市場)にゆだねていることについてー” など、鋭い考察が光ります。 ただ、“若者の没落をふせぐために社会がすべきことは何か”の章では、果たしてこれだけで本当に大丈夫なのだろうか、という不安がやはり残ります。 

現在私が暮らしているアメリカの地方都市のある中学校でつい先日、女生徒の(学校で撮ったと思われる)ヌード写真が携帯電話を通して全校生徒にあっという間に広まったという事件が起こりました。 いずれ日本でも同じことが起こると思うのですが、生活に必要なものを生産・消費する社会が、いつの間にか何が何でも品物を売らなくては・買わなくては生き残れない−という社会にすりかわっているような気がします。 それでも“自分の生き方は自分が決める”という個人主義が徹底的に根付いているアメリカと比べて、家族や世間の目にがんじがらめに縛られている日本人のほうが、先行き不安は大きいような気がします。 こういう本はいくらあっても足りないくらいだと思います。 日本人全てが考えるべき問題でしょう。
 失業率の上昇等により経済的な余裕のない若者も,潤沢な余裕資産を有する親と同居することで,比較的自由な消費生活を楽しむことができる。そして,昔とは異なり,そうしたパラサイト生活を享受し,社会参加の意欲を持たない「新しいモラトリアム」意識を持つようになる。その結果として,結婚せずパラサイト・シングルを楽しむことになる。
 これらの分析を経て,筆者は,次のような懸念を抱く。

《経済社会のゆとりが,年若い消費者を大量につくりだし,友達親子を生み出した。しかし,社会のゆとりが失われたとき,果たして友達親子は生き残ることができるだろうか。親が手厚く保護することができなくなれば,消費者という社会的地位はあとかたもなく失われる。子どもたちは生活面・社会面で自立する能力を欠いたまま,厳しい現実に直面せざるを得ない。そんな未来が行く手に待ちかまえている可能性を,親と子はどれだけ自覚できているのか。》(150頁)

 上記の分析を踏まえた(はずの)提案は,何だか尻すぼみのような気がする。
 しかし,若者のパラサイト生活が何に寄って立っているのか,それがどれほど危うい基礎の上に成り立っているのかといった分析は,非常に読み応えがあった。
この手の本は教育関係者など(もちろん学生もですが・・・)一部の限られた関係者しか読まれていないことが大変残念だと思う。
高齢化社会に対する政策は一生懸命なのに(いい意味でも悪い意味でも)若者に対しては手薄感が否めない。
(ニートからも某TV番組で『現在政府の行なっているニート対策費用は意味がない』と発言され顔色が変わった国会議員がいたが・・・)

若者の話題はどうしても少子化と結びつくパラサイトシングルやフリーター・ニートなどはわがままだ・・。」とか、出生率の問題などに話題がいき「子どもを生まない女性に非難は集中する。
が、若者が社会的弱者になっている現状を国会議員の方々はどのよう思っているのだろうか?もう、家族や個人では対応できないところまで来ているのだ。求人率が上がれば解消できる問題でもない。
(選挙権がない人には冷たい。。とか???)

筆者の提言には例えば、大学の学費の自費負担などいろいろな意見があるとは思うが、大学生になる前に必読図書として読んで欲しい。


放送大学で興味深い社会学の授業をしている先生の本。薄い新書なので楽に読めると思ったら、内容が濃くてずいぶん時間がかかってしまった。非常に良書だったと思う。

若者がなかなか親の家を出ず、結婚もせず、経済的にも社会的にも自立しないという現象を、社会経済的、心理的背景から解き明かしている。それも非常に納得性の高い記述が多い。

晩婚化には、なかなか解消しない企業社会における男性中心主義が影を落としている。長く働き続けても女性の地位も賃金も上がっていかないし、子供を持ちながら働くための社会的インフラも貧弱である。だから結婚して子供を持ったら女性は仕事をやめ、夫の収入に依存せざるをえない。すると、結婚したら夫だけの経済力で子供を産み育てなければならないという経済的プレッシャーから、男女ともに結婚に踏み切れない。むしろ親と暮らしていたほうが楽だ、ということになってしまうのだ。

そして、この男性中心主義の結果、能力もやる気もある大多数の女性が、社会で活躍する場面を奪われ、消費や趣味の世界に追い込まれているという。もったいない話である。

莫大な教育費が親の負担としてかかっている現状も、若者の自立を妨げている。EU諸国では、授業料減免や高い水準の奨学金を使って、学生が自分の負担で、熱心に授業に取り組んでいる。

一方、日本の大学生はあまりにも勉強しない。費用を親が出していることと無関係ではあるまい。いい成績を修めないと奨学金がもらえないようなシステムだったら、今以上に大学生は勉強するようになるだろう。莫大な費用を親が負担し、その結果当の学生がぜんぜん勉強しないのでは、壮大な社会的ムダである。日本ももっと奨学金制度を充実させて、学生が自分の負担で学ぶようにしたらいい。著者の主張に全面的に賛成だ。